筆者がファンドマネージャーなら買ってみたい9社
まったく不人気となってしまった「含み資産」株ですが、実質PBRが低すぎる銘柄で、財務が良好、収益基盤が堅固な銘柄は、いつか見直されることを期待して買っていって良いと思います。
筆者は、過去25年間、日本株のファンドマネージャーをやってきた経験があります。もし今もファンドマネージャーならば、以下9銘柄は、少し買っておきたいと思います。
飯野海運(9119)・安田倉庫(9324)・三井倉庫HD(9302)・三井不動産(8801)・三菱地所(8802)・住友倉庫(9303)・三菱倉庫(9301)・JR東日本(9020)・京阪神ビル(8818)
<参考>なぜ、2006年以降、ハゲタカファンドは日本から撤退したか
2005年ごろ、割安な含み資産株をハゲタカファンド(買収ファンド)が買い占めて大暴れしたことがあります。巨額の含み益を有するにもかかわらず利益水準が低く、PBRが実質1倍を大きく割れ、株価が安くなっている企業がターゲットとなりました。一定量の株を買い集めた上で、企業に「含み益のある資産を売却して配当金を大幅に増やすこと」などを強く要求しました。
ただし、短期的な利益を狙って株主権を濫用するハゲタカファンドには社会的批判が集まりました。敵対的買収への嫌悪感が広がり、2006~2007年には上場企業に買収防衛策の導入ブームが起こりました。そこで、ハゲタカファンドは去り、敵対的買収ブームは鎮静化しました。
今、株主権をたてに企業に株主還元を強要するハゲタカファンドは少なくなりました。企業と対話しながら、企業価値を高めていくことを目指すファンドが増えています。ハゲタカファンドが去ったことを受けて、買収防衛策を解除する企業が増えました。
こうして企業と株主の対話は改善されました。一方、含み資産を持つだけの割安株には、長期投資家も短期投資家も、見向きもしなくなりました。巨額の含み資産を保有しながら、株価が割安な銘柄は、割安なまま放置されるようになりました。
ただ、歴史は繰り返すと言います。近年、一部でハゲタカ型の買収を割安な日本企業に仕掛ける動きが出始めています。今後、極端に割安な銘柄には、TOB(株式公開買い付け)を仕掛ける動きが徐々に増えていく可能性があると見ています。
▼著者おすすめのバックナンバー
2021年2月9日:海運・化学・石油…市況関連株に短期トレーディングの機会到来と考える理由2021年1月5日:「割安株」復権へ?初心者も上級者も今年は成長株より割安株に注目すべき理由2020年10月15日:「割安株」復権へ?初心者も上級者も今年は成長株より割安株に注目すべき理由