バブルだとして、崩壊のきっかけは何?

 現状を定性的に見て、株価の形成は明らかに「バブル的」だ。信用拡大のリスクを負う主体が政府・中央銀行であること、リスクを過小評価させる仕掛けが「政策プット」への期待であること、バブルで儲けている小悪党が広い範囲に及んでいて、まだ極端な偏りを持っていないことなどから見て、今回の「コロナ・バブル」のスケールはまだまだ大きいのかも知れない。

「バブル崩壊」は、将来の金融引き締めへの転換でほぼ間違いなく起こるだろうが、これは、かなり先になるのではないか。一番早く問題になるかも知れないのはアメリカのインフレ率だが、「失業率が4%台で、インフレ率が2%を大きく超える」というような金融引き締めへの転換を警戒すべき状況まではまだ距離がある。

 もちろんその他に、コロナの状況の想定以上の悪化、新興国の国際収支・財政などの破綻の可能性など、株価の急落につながりかねない各種の火種は常にある。また、株価の水準によっては、それが高すぎる事に気づいた投資家の売りによって、「株価が高すぎること自体が悪材料だ」(1990年代の日本の市場はその状況だった)という売りの連鎖が起こらないとも限らない。何れにしても、株式市場には必ずリスクがあるし、そうでなければ困る仕組みでもある。

 将来の崩壊のショックがどの程度のものになるかは株価水準次第だが、その評価のためには、何らかの定量評価的な判断基準を持つ必要がある。定量評価面については、別の機会に検討したい。