1月のドル/円は103円台前半で始まりました。菅首相が1都3県における緊急事態宣言を週内にも発令する方向で検討しているとの報道を受け、102円台半ばに下落しました。しかしその後は、5日のジョージア州の上院議員選挙での民主党勝利、6日の選挙人投票の開票によるバイデン次期大統領の確定を受け、新政権による経済対策への期待から米長期金利が上昇し、金利上昇とともにドル/円も102円台から反転し、一時104円台まで上昇しました。

 そしてこの102円台から104円台への反転過程で、新政権体制下での金融政策や通貨政策のスタンスを確認することもできました。

金融政策:FRB(米連邦準備制度理事会)の長期の緩和姿勢が確認される

 金融政策について、FRBの長期の緩和姿勢が改めて確認されました。1月上旬の金利上昇は、新政権による経済対策への期待だけでなく、複数の地区連銀総裁が量的緩和の縮小(テーパリング)に言及し始めたことも背景にありました。マーケットでは、ワクチンの普及と経済対策によって景気が回復してくれば、FRBが年内に資産購入を縮小してくるのではないかとの観測が浮上し、金利上昇の要因のひとつとなりました。しかし、14日のオンライン討議でパウエル議長は、「今は議論する時ではない」と明確に否定し、緩和の出口が遠いことを改めて示唆しました。つまり、バイデン政権下でもFRBの金融スタンスは長期の緩和姿勢が続くということをマーケットに改めて知らしめたことになりました。今週26~27日に開催されるFOMC(米連邦公開市場委員会)では、量的緩和縮小に対する慎重姿勢あるいは長期の緩和姿勢が改めて確認されるかどうか注目です。