iDeCo、つみたてNISAは「定額制」

 一方で、日本でこれに近い仕組みを取っているのは企業型のDC(確定拠出年金)のみです。企業型のDCは企業年金連合会の調査などで、給与の一定率を掛け金として拠出するか、職階級に応じて増額するテーブルの形としているのが多数だと分かっています。

 これはつまり、昇格昇給に伴い、確定拠出年金の掛け金もアップする「定率型」だということです。

 しかしながら、個人が任意に加入する制度ではこうした自動増額ルールではなく「定額型」が中心となります。

 一般NISA(ニーサ:少額投資非課税制度)や、つみたてNISAの年間拠出限度枠が決められていることは皆さんもご承知でしょうが、その範囲内で本人が申し込み時に掛金額を決めます。「月1.0万円から始めようかな」という感じです。

 iDeCo(イデコ:個人型確定拠出年金)、あるいは企業型DCのマッチング拠出(本人拠出)も同様で、拠出限度額が働き方によって異なりますが、自らの拠出可能な金額の範囲で定額の拠出設定をします。iDeCoの場合、最低5,000円は積まなければいけませんが、「上限は月2.3万円だけど、私の積み立ては1.5万円くらいで」、というふうに設定します。

 このとき、年収増などが実現して拠出をアップすることができたとしても、金融機関側から増額提案がタイミングよくあるわけではありません。あるいは自動的に増額する仕組みもありません。

 20歳代あるいはアラサーのうちに決めた積立額が10年以上放置されていると、実際にはもっと積めるのに、ほったらかしということになってしまうことがあり、これは「悪いほったらかし」になってしまいます。

 最初から上限いっぱいで拠出している場合、あまりこの増額問題は気にならないようですが、これも長い目で見ると危険です。税制改正が実現して限度額が上がったときも、自分で増額手続きをする必要があるからです。

 iDeCoは過去何度か限度額の引き上げがありましたが、掛け金分布を見ると「昔の限度額の上限で設定したまま」という人が一定割合いるようです。やはり「ほったらかしは要注意」です。