単に銘柄を分散させて長期保有しておくだけでは効果に疑問が

 伝統的な考え方は、投資資金を全て株式投資に回し(フルインベストメント)、買った株をずっと保有し続ける(バイ・アンド・ホールド)という前提で語られていると筆者は感じます。だから、個別銘柄を原因とする株価変動をできるだけ抑え、かつ長期的に保有することで安定した株価上昇を目指しているのでしょう。

 でも、先述のとおり、今の日本株は、単に個別銘柄を長期間保有すれば、みな株価が上昇するわけではありません。上昇するものは大きく上昇し、上昇しないものは5年、10年と全く上昇しないのです。

 さらに、業績がよく株価が大きく上昇していた銘柄が、業績のピークアウトで株価も大きく下落してしまうこともよくあります。こうした銘柄を長期間保有し続けていると、逆に大きな利益を得る機会を逸してしまいかねません。

 複数の銘柄に分散して投資するからといって、その銘柄を長期間ずっと持ち続ける必要はありません。逆に、その銘柄が下降トレンドに転じたら速やかに売らなければ、多額の含み損を抱えた塩漬け株になってしまう危険性もあります。

 さらに、マーケット全体が軟調な時期では、ほとんどの銘柄の株価が下がってしまうので、いくら銘柄を分散させたとしても、株そのものを保有すればするほど損失が膨らんでしまいます。