教科書的な銘柄分散の方法には疑問点が

 では、複数の銘柄に分散するとき、具体的にどのようにすればよいのでしょうか。伝統的な考えでは、個別銘柄ごとのリスクを打ち消し合うような銘柄選定にすべきとされています。

 例えば、業種が偏らないようにするとか、輸出関連株と輸入関連株を両方保有する(円安がプラスに働く業種と円高がプラスに働く業種を保有することで、為替レートの変動による影響を小さくする)、といったものです。

 ただ、筆者はこの伝統的な銘柄分散の方法にはやや否定的です。今の日本株は二極化相場です。業績が良い銘柄でなければなかなか株価は上昇しません。また、その傾向は業種ごとの株価の動きにも言え、例えば銀行株のように、株価が長年ずっと上昇していない業種もあります。

 確かに投資する銘柄をいろいろな業種に分散させれば、個別銘柄に起因するリスクは低下します。でも、その結果株価上昇の恩恵を受けることができるかというと、それはまた別の話なのです。

 また、輸出関連株と輸入関連株を同時に保有する必要もないと思っています。もし、円安になっていれば輸出関連株だけ保有していればよく、円高になれば輸入関連株だけ保有していれば、投資成績は向上するはずです。

 いくつかの銘柄に分散して投資することは筆者も大賛成で実践していますが、銘柄の選定方法として、単に銘柄を分散させるだけでなく、より株価が上昇する可能性が高いものを選ぶ必要があると思っています。