本当に困ったときは、積み立ての解約をためらわない

 2021年を前にして、悲観的な話が続いて恐縮ではありますが、悲観的なシナリオを考えておくことは、こうした難しい時期においては無意味ではないと思います(できればそんな予想は外れてほしいものですが)。

 年収の減少が確定的になり、それが節約でも補うことが困難である場合において、積立額の減額でもどうしようもないということがあります。この場合、「積み立ての中断」ないし「積立資金の解約」を最後に考えることになります。

 税制優遇のチャンスは後からさかのぼって得ることはできません。2022年に落ち着いたとき、「2021年分のつみたてNISA(ニーサ:少額投資非課税制度)40万円分を入金します」とか、「さかのぼってiDeCo(イデコ:個人型確定拠出年金)2年分を拠出します」というようなことはできません。

 それでも、家計の赤字が生じる状態であれば「積み立ての中断」を行ってください。そして、中断でも赤字額をまかなえない場合は「積み立ての解約」を行ってください。iDeCoは解約が基本的に不可能なので、証券口座やNISAの対応が優先されることになります。

 貯金は将来の目的のために行うものでしょうが、目の前の家計が苦しいときに取り崩すバッファーとしての役割もあります。厳しい状況のとき、解約して受け取ることのできる資金があるのなら、ためらわずに「投資資金の売却」を行って構いません。

 ローンの返済についても銀行の窓口で返済計画の見直しを相談してみたり、教育費などのやりくりについては目的ローンの相談をしてみましょう。年利15%のローンは最終手段であり、基本的には禁じ手だと思うくらいがいいと思います。

いつか日は昇る。2021年、がんばって切り抜けよう

 今般の新型コロナウイルスの問題については、治療法が確立されれば、また違った世の中になってくるのではと思っています。

 そして、その日は必ずやってきます。新しい生活様式に従い、暮らし働く生活はなかなか大変なことも多いと思いますが、ぜひがんばって切り抜けてほしいと思います。

 不安はあれど、きっと日は昇る。そう信じて2021年を迎えていただければと思います。