激動の2020年が終わる

 新型コロナウイルスの世界的パンデミックが起きた、激動の2020年が終わろうとしています。今年は投資の世界でもライフスタイル、ワークスタイルにおいても激変のあった年として、記憶されることになるでしょう。

 資産運用においては3月末にかけての急落と、その後の急回復、そして11月に入ってからの急上昇がありました。傷一つなく今年を終えることができた人もいれば、大きな損失確定や性急な利益確定をしてしまい後悔を残した人もいることでしょう。

 ライフスタイル、ワークスタイルにも大きな変化がありました。3密を避ける生活行動が求められ、飲み会、アミューズメント、旅行などのあり方は大きく変わりました。テレワークが急激な普及を見たことも大きな変化で、働き方によっては自宅勤務が主流になった人もいます。

 一方で、新型コロナウイルスのワクチンや特効薬の開発は、不確定な状態でニュースが先行している段階です。2021年に向けて実用化の期待は高まるものの、まだまだこれからというところです。

 さて、あなたの2021年の投資のあり方はどう考えていくべきでしょうか。

2021年、投資を継続したいがその基盤は大丈夫か

 先日、ある雑誌で「初めての投資」のような取材を受けたのですが「最初のステップは家計の管理と節約による投資原資の捻出(ねんしゅつ)です」と強く言ったら不思議そうな反応が返ってきました。

「いやそれは投資のことではないでしょう」という反応です。しかし2021年に考えるべき最初のステップは「家計の状況確認」、もっと直接に言えば「収入状況の確認」です。

 すでに統計的に見ても、給与減(現状では時間外手当の減少が大きい)、賞与減(無支給とする企業も少なくない)の傾向が現れ始めています。12月に渡された源泉徴収票を前年と確認し、年収の増減をチェックするだけでなく、2021年の収入予想もしっかり考えておきたいところです。

基本は収入減に備えるスタンスで

 自分が勤める会社です。年始に2020年の業績などを振り返って、2021年の予想をしてみながら、基本的には年収減を覚悟しておいたほうがいいと思います。結果として前年並み、あるいは年収増となれば、その分は投資や貯蓄原資となりますから、問題はありません。

 しかし強気の年収予想に基づいて家計支出をしていれば、年収の大きな減少に直面すると、リカバリーが困難になります。基本的には保守的あるいは消極的な予想を考えておきたいところです。

年収ダウン。投資は続けるべきか? 

 もし年収ダウンとなった場合、基本的には次の2方面から対応を検討していきます。

  • 生活コストのダウン
  • 貯蓄や投資額のダウン

生活コストのダウン

 まず生活コストの見直しを行います。スマホアプリを活用しながら家計簿をつけ、ムダな支出を洗い出します。利用実態のない固定費をガンガン解約して削り、割安サービスへの乗り換えが可能な固定費は見直しを行います。できれば固定費で月1万円以上の削減が達成できると、家計の見直しはかなり楽になります。

 日々の買い物にも気をつかって節約に取り組み、できることなら積立投資や積立貯蓄の原資は維持していきたいものです。それは将来に必要となる資金作り(例えば子どもの将来の学費の積み立てなど)であり、中断は目標額の下方修正になってしまうからです。

貯蓄や投資額のダウン

 しかし、年収が下がるケースにおいて、かつ節約に取り組んでも、なお積み立てを継続することが困難である場合には「積立額の減額」を行ってください。

 積立投資をしながら家計は赤字になっており、積立額と同額をカードローンで設定するのは意味がありません。それどころか高い金利分マイナスですから、絶対に止めておきましょう。

本当に困ったときは、積み立ての解約をためらわない

 2021年を前にして、悲観的な話が続いて恐縮ではありますが、悲観的なシナリオを考えておくことは、こうした難しい時期においては無意味ではないと思います(できればそんな予想は外れてほしいものですが)。

 年収の減少が確定的になり、それが節約でも補うことが困難である場合において、積立額の減額でもどうしようもないということがあります。この場合、「積み立ての中断」ないし「積立資金の解約」を最後に考えることになります。

 税制優遇のチャンスは後からさかのぼって得ることはできません。2022年に落ち着いたとき、「2021年分のつみたてNISA(ニーサ:少額投資非課税制度)40万円分を入金します」とか、「さかのぼってiDeCo(イデコ:個人型確定拠出年金)2年分を拠出します」というようなことはできません。

 それでも、家計の赤字が生じる状態であれば「積み立ての中断」を行ってください。そして、中断でも赤字額をまかなえない場合は「積み立ての解約」を行ってください。iDeCoは解約が基本的に不可能なので、証券口座やNISAの対応が優先されることになります。

 貯金は将来の目的のために行うものでしょうが、目の前の家計が苦しいときに取り崩すバッファーとしての役割もあります。厳しい状況のとき、解約して受け取ることのできる資金があるのなら、ためらわずに「投資資金の売却」を行って構いません。

 ローンの返済についても銀行の窓口で返済計画の見直しを相談してみたり、教育費などのやりくりについては目的ローンの相談をしてみましょう。年利15%のローンは最終手段であり、基本的には禁じ手だと思うくらいがいいと思います。

いつか日は昇る。2021年、がんばって切り抜けよう

 今般の新型コロナウイルスの問題については、治療法が確立されれば、また違った世の中になってくるのではと思っています。

 そして、その日は必ずやってきます。新しい生活様式に従い、暮らし働く生活はなかなか大変なことも多いと思いますが、ぜひがんばって切り抜けてほしいと思います。

 不安はあれど、きっと日は昇る。そう信じて2021年を迎えていただければと思います。