「毎月分配型」に投資して「分配金再投資」を選択するのは非合理

 毎月支払われる分配金のすべてを、そのまま元のファンドに再投資するのは、非合理です。それならば、最初から分配金がなるべく少ないファンドを選んで長期投資すべきです。

 毎月分配金を受け取ると、その都度、源泉税(利益から出る分配金の約2割)を差し引かれます。その分、再投資額が小さくなります。わざわざ税金を支払うために、毎月分配を選んでいるようなものです。

 分配金にかかる源泉税について、もう少し詳しく説明します。分配金が、仮にAファンドで毎月100円出るとします。その内、60円が利益から支払われ、40円が元本払戻金だったとします。

 この場合、源泉税は、利益からの分配金60円だけにかかります。60円の約2割、つまり約12円が源泉税として差し引かれます。100円の分配金を受け取って、12円差し引かれ、残った88円だけが元のファンドに投資されます。

 分配金のないファンドならば、中長期に複利運用ができます。それなのに、毎月分配型ファンドに投資して、毎月源泉税を支払いながら、再投資していくのは、非合理な投資行動です。

 私は、過去25年間、日本株ファンドマネージャーをやった経験があります。投資信託・年金・海外ファンドなどの日本株運用を担当していました。投資信託の運用をしていて、分配金について、とても残念に思ったことがあります。

 私の運用する公募投信で、パフォーマンスが良かった年に、1,000円の分配金を出したことがあります。分配金のかなりの部分が再投資で戻ってきたことに驚きました。私のファンドに投資していただいていた投資家の方の半数以上が、分配金再投資型を選んでいたためです。

 私は、とても複雑な気持ちでした。投資家の半数以上は、分配金を受け取ることを望まず、私のファンドに長期投資したいと願っていたことがわかりました。それはとても嬉しいことです。でも、それならば、1,000円もの高額の分配金は出すべきではなかったのです。

 当時は、利息・配当金にかかる源泉税率は10%でしたので、1,000円の分配金から、100円の源泉税が差し引かれ、900円だけが再投資に回ったことになります。分配金を出さなければ中長期で複利運用ができるのに、「再投資」を選んでいる投資家は、わざわざ100円の源泉税を支払うために、分配金を受け取ったことになります。