毎月出る分配金のほとんどが「元本払戻金」という事実がきちんと理解されていない

 毎月分配型の投資信託のどこが問題か? 販売手数料や信託報酬が高いファンドが多いことも問題ですが、それだけではありません。私は、多くの個人投資家に、運用利回りを誤認させていることが最大の問題と考えています。利益が出ていないときでも、元本を払い戻して高分配を維持していることが、きちんと理解されていません。

 分配金利回り(税引前)のランキング上位には、年率の分配金利回り20%を超える毎月分配型ファンドがずらりと並びます。ところが、そうした高分配ファンドの多くで、基準価額は3,000~5,000円まで落ち込んでいます。

 設定時10,000円だったファンドが半値以下になっているわけです。元本払い戻しによって、高分配を維持してきたわけですから、元本の減少によって基準価額が下がっていくのは当然ですが、その仕組みが投資家にきちんと理解されていません。

 毎月分配型ファンドのほとんどが、利益だけを分配しているわけではなく、元本を払い戻すことによって高分配を維持していることは、マスメディアで広く報道されています。「真の利回りでないことなど、みんな知っているよ」という人もいます。

 ところが、残念ながら、多くの投資家は、分配金利回りを誤認していると言わざるを得ません。それには証拠があります。毎月分配型ファンドを購入する投資家の大半が、「分配金再投資型」を選択しているという事実です。

 毎月分配型ファンドに投資して、「分配金受取型」を選ばず「分配金再投資型」を選ぶ投資家は、以下の状態にあると考えられます。

【1】分配金が出ても、それを受け取って生活費に充てる必要はない。

【2】毎月分配型ファンドを「利回りの高い有利な運用」と勘違いしている。運用残高を減らしたくないので分配金をすぐ元のファンドに再投資する。