4:ビットコイン価格の変動率は、イーサリアムの変動率の7割程度を維持する

 ビットコインと暗号資産の中でも比較的人気があるイーサリアムについて、考えます。これら2つの価格の推移(山と谷のタイミング)はほとんど同じです。2020年1月1日から11月30日までの、2つの価格の関係を示す相関係数は、“非常に似通っている”ことを示す+0.91でした。

 一方、山と谷のタイミングが非常に似ているものの、異なる点もあります。変動率です。同じ期間で、上昇したり下落したりした時の“程度”が異なります。当日の終値と前日の終値を元に計算した変動率(前日比)は、2020年1月1日から11月30日までの平均で、ビットコインは+0.3%、イーサリアムは+0.5%でした。

 同じ期間の最大変動率は、ビットコインが+18.8%、イーサリアムが+20.4%、最小変動率はビットコインが▲27.1%、イーサリアムが▲32.0%でした。全体的に、ビットコインの変動率はイーサリアムの7割程度であることがわかります。

 そもそも、ビットコインは、先述のとおり、株価指数やコモディティ銘柄に比べて変動率が高い傾向があります。イーサリアムの変動率はそのビットコインを超えているわけです。

“変動率の高さ”をメリットと感じる投資家にとっては、ビットコインの他、イーサリアムも、投資対象になると言えそうです。2021年も、2020年と同様の傾向が続く可能性があると、筆者は考えています。

5:円建てビットコインは、円高時、ドル建てに比べて上昇する力が弱くなる

 同じビットコインでも、円建て(えんだて)とドル建て(どるだて)、という異なる通貨建てのビットコインが存在することに留意が必要です。

 コモディティ(商品)市場を例にすれば、NY金先物価格が世界の金価格の重要指標の一つであり、このNY金先物価格が変動すれば、世界中の異なる通貨建ての価格が、それに倣う傾向があります。大阪(日本)の円建て金先物価格も例外ではありません。

 NYのドル建て市場が上昇し、大阪の円建て市場がそれに連動する傾向があるのですが、時として、連動性が低くなる、NY市場が上昇しているのに、大阪市場がNY市場ほど上昇しない、あるいは大阪市場が逆に下落する、などの事象が発生することがあります。

 このような事象は、おおむね“ドル/円”の急変時に発生します。ドル建て市場が上昇した時、ドル/円が大きくドル安/円高に振れている場合、円高が重石となり、円建て市場がドル建てほど上昇しない、あるいは円建て市場は逆に下落することがあります。

 ドル建て市場が下落した時、ドル/円が大きくドル高/円安に振れている場合、円安が追い風となり、円建て市場がドル建てほど下落しない、あるいは円建て市場は逆に上昇することがあります。

 ビットコインの世界も同様で、円建て・ドル建てなど、通貨建てが異なるビットコインが存在することに、留意が必要です。後述する主要国のデジタル通貨政策などは、基軸通貨であるドルを基調としたドル建てビットコインに直接的に影響が及ぶ可能性があるためです。

 余裕があれば、国内で円建てビットコインに投資をする際、ドル建てビットコインや、ドル建てと円建ての間に存在する“ドル/円”の動きにも、注意してみるとよいと思います。