ワクチンへの期待と、コロナ感染拡大・変異種への不安が綱引き

 12月の株価変動性が小さくなったのは、クリスマス休暇で売買が減ったことだけが原因ではありません。新型コロナをめぐる情勢の変化も影響しています。

 11月の世界的な株価上昇は「ワクチンへの期待」によって引き起こされたものでした。米国・英国で新型コロナのワクチン開発が予想以上の速さで進み、来年にはワクチンの大量供給が実現するメドが立ち始めたことが好感されました。コロナが収束に向かい、世界経済が徐々に正常化に向かう期待が、世界的な株価上昇につながりました。

 ところが、12月には、コロナの感染拡大が世界で予想以上のピッチで進んでいます。ワクチン供給が間に合う前に、感染爆発が起こり、世界経済が二番底にむかう不安が出ています。さらに、英国から広まり始めたと考えられる、感染力の強い新型コロナ変異種への不安も加わっています。

 変異種について、詳しい情報はまだ明らかになっていません。いま世界で開発が進むワクチンが変異種にも有効であれば大きな問題にはならないと思われますが、それが現時点でわかりません。今後入ってくる変異種についての情報に、株式市場が一喜一憂することになりそうです。