外国人の買いが減少、やや上値が重くなる日経平均

 先週の日経平均は、1週間(12月21日25日)で106円下がり2万6,656円となりました。12月の日経平均は25日までで222円しか上昇していません。11月の日経平均が、1カ月で3,456円上昇したのとは様変わりし、上下とも大きくは動かない展開となっています。

 以下、2020年の日経平均の動きと、外国人の売買動向(株式現物・日経平均先物の合計)をご覧ください。

日経平均と外国人の売買動向(買越または売越額、株式現物と日経平均先物の合計):2020年1月6日~12月25日(外国人売買は12月18日まで)

注:東京証券取引所データより楽天証券経済研究所が作成。外国人の売買動向は、株式現物と日経平均先物の合計

 ご覧いただくとわかる通り、日経平均の動きを決めているのは、外国人投資家です。12月の日経平均のボラティリティ(変動性)が低下したのは、クリスマス休暇で外国人投資家の売買が減ったためです。本欄で繰り返し述べている通り、日経平均を大きく動かすのは、外国人です。外国人は上がる時は上値を追って買い、下がる時は下値を叩いて売ってくるからです。その外国人の売買が減ると、日経平均のボラティリティは低下します。

 外国人投資家は11月には、2兆3,802億円も日本株を買い越し(株式現物・日経平均先物の買越額合計)、日経平均を15%も急騰させました。ところが、12月に入ってから18日までで外国人の買い越しは5,554億円に減っています。

外国人の売買動向(買越または売越額、株式現物および日経平均先物)と日経平均騰落率:2020年1月6日~2月25日(外国人売買は12月18日まで)

注:東京証券取引所データより楽天証券経済研究所が作成

ワクチンへの期待と、コロナ感染拡大・変異種への不安が綱引き

 12月の株価変動性が小さくなったのは、クリスマス休暇で売買が減ったことだけが原因ではありません。新型コロナをめぐる情勢の変化も影響しています。

 11月の世界的な株価上昇は「ワクチンへの期待」によって引き起こされたものでした。米国・英国で新型コロナのワクチン開発が予想以上の速さで進み、来年にはワクチンの大量供給が実現するメドが立ち始めたことが好感されました。コロナが収束に向かい、世界経済が徐々に正常化に向かう期待が、世界的な株価上昇につながりました。

 ところが、12月には、コロナの感染拡大が世界で予想以上のピッチで進んでいます。ワクチン供給が間に合う前に、感染爆発が起こり、世界経済が二番底にむかう不安が出ています。さらに、英国から広まり始めたと考えられる、感染力の強い新型コロナ変異種への不安も加わっています。

 変異種について、詳しい情報はまだ明らかになっていません。いま世界で開発が進むワクチンが変異種にも有効であれば大きな問題にはならないと思われますが、それが現時点でわかりません。今後入ってくる変異種についての情報に、株式市場が一喜一憂することになりそうです。

バイデン米次期大統領への期待と不安も共存

 11月にバイデン米次期大統領の大統領選勝利が決まると、株式市場は上げ足を速めました。バイデン氏が、トランプ政権の「米国第一主義」を修正し、国際協調路線に回帰する方針を示していることから、米中対立が緩和する期待が生じました。また、コロナ対策の大型公共投資を実施する方針であることも好感されました。

 ただし、株式市場の11月の動きは、バイデン氏の政策の「いいとこ取り」だったとも言えます。実際にバイデン政権が始動すれば、公約の法人増税の話も出てくると思います。GAFA規制の話もでるかもしれません。米中対立がさらに深まる可能性もあります。

 バイデン大統領が誕生する1月が近づくにつれ、バイデン政権への期待と不安が交錯する展開になりつつあります。

日本株の投資方針

 私は、メインシナリオとして、来年、ワクチンの供給によって世界経済が正常化に向かい、世界景気の回復が続くことを想定しています。その場合、外国人の買いが続き、来年には一時日経平均が3万円をつけると予想しています。ただし、ワクチン供給が遅れ、来年も世界景気低迷が続くリスクもあります。その場合、日経平均が上昇する時期は先送りとなります。

 いずれにしろ、日本株は割安で、長期的に買い場との見方は継続します。時間分散しつつ、配当利回り4%超えている、割安な大型高配当利回り株に投資していくことが長期的な資産形成に寄与すると思います。

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