3:中央銀行の追加金融緩和

 12月は、日米欧とも金融政策委員会が開催されます。ラガルドECB(欧州中央銀行)総裁は12月10日のECB理事会での追加緩和を示唆していますが、量的緩和の規模や延長時期など市場の期待に応えるのかどうか注目です。期待以上であれば、1.20台に乗せたユーロ/ドルは追加緩和で売られるよりも一段高になる可能性もあるため、注意が必要です。

 15~16日開催のFOMC(米連邦公開市場委員会)では、前回の議事録で資産購入に関するフォワードガイダンス(金融政策の指針)が12月にも変更される可能性が示唆されたため期待が高まっています。しかし、NYダウが3万ドルを超えた中で変更するのかどうかに注目です。変更されれば、ドル安に反応する可能性がありそうです。

4:ドル建て資産の配分比率調整

 NYダウは3万ドルを超え、ナスダックは市場最高値を更新しました。米株を中心としたドル建て資産の価値が高くなっているため、ドル建て資産の配分比率の見直しが起こる可能性があります。年末、四半期末である12月末に向けてそのような資産配分の見直しによって米株が影響を受けるのかどうか注目です。やや中長期的な見方ですが、留意しておく必要はありそうです。

5:中東の地政学リスク

 10月の終わりにイランの核開発の中心人物であった科学者が暗殺されました。イランはイスラエルが背後にいると反発しています。この暗殺事件は中東の地政学リスクを高める可能性があり、今後の動向を注視する必要があります。イランを突発的行動に引きずり出す思惑があるのか、過去、年末年始には中東情勢の事変も多く要警戒です。今年1月早々には、米国によってイラン司令官が殺害されました。また、2016年1月早々には、サウジアラビアがシーア派の有力宗教指導者を処刑したことによってイランが反発し、テヘランのサウジ大使館襲撃へとつながっています。両事件とも大事件には至りませんでしたが、マーケットには緊張をもたらしました。

 以上のように12月は閑散相場となることも多いですが、今年は材料も豊富なので、警戒モードを解除することはできないようです。