盛り上がりに欠けた今回の米大統領選挙後のドル/円相場

 今年2020年の米大統領選挙後のドル/円相場は、今ひとつ盛り上がりませんでした。いまだトランプ米大統領が敗北宣言をせず法廷で争う姿勢を示していることや、高い効果の新型コロナワクチンが開発され間もなく接種が始まる一方で、新型コロナウイルスの感染拡大が止まらないこと、さらにねじれ議会の見通しから、バイデン氏の政策も規模や時期が不透明なことなどによって、米大統領選の結果そのものを材料にした動きは見られませんでした。4年前のように、トランプ氏の勝利宣言後、政策への期待感が高まり、ドル/円は1カ月で101円台から114円台へと10円以上の円安になった動きとはかけ離れた状況となっています。

 また、来年2021年1-3月期の米国GDP(国内総生産)は、新型コロナ感染拡大による経済再規制からマイナス成長予想が出始めています。足元の米景気指標はよいものが出ていますが、経済再規制の影響を受ける2021年前半の景気が悪化すれば、米長期金利も上がり切らず、ドル/円はFRB(米連邦準備制度理事会)の超金融緩和の中ではジリ安となる構図は続いていきそうです。 

 このジリ安の構図によって、ドル/円は6月の109円台を頭に毎月大台を1円ずつ切り下げてきました。7月は108円台、8月は107円台、9月は106円台と頭が切り下がり、10月は106円台の戻りを見せましたが、10月後半から再び105円台、104円台へと頭が切り下がってきている状況となっています。ただ、新型コロナワクチン開発報道やバイデン氏への政権移行許可報道を受けてもほとんど反応しなくなってきていることから、このままクリスマス、年末相場に入る可能性も高まってきているかもしれません。

2020年の年間レンジの半値は106.70円

 2020年のドル/円のレンジは、2月の高値112.23円と3月の安値101.18円の11円5銭(注)です。2019年のドル/円のレンジである8円30銭(注)の年間値幅をたった3週間ほどで上回ることになりました。その後はこのレンジの枠内で動いているだけです。2020年のドル/円レンジの半値は106.70円です。月間終値ベースでは7月以降、この半値以下の水準が続いています。この半値以下のレンジで推移している限り、100円トライの可能性は残っていそうです。
(注)筆者の情報収集により算定した参考値