日経平均の目標計算値:3万円台トライは夢物語ではない?上昇の原動力を確認

 また、足元の上昇トレンドについて、別の指標でも株価の水準感を探っていきたいと思います。

■(図4)日経平均(日足)の動き その2(2020年11月27日取引終了時点)

出所:MARKETSPEEDⅡを元に筆者作成

 上の図4は、足元の株価上昇がどこまで伸びそうなのかを、典型的な目標計算値(V計算値・N計算値・E計算値)で表したものです。

 足元の上昇トレンドは10月30日の安値から始まりましたが、11月17日の高値で上昇がいったんストップし、11月20日まで下げた後、再び上昇という軌道を描いています。

 V計算値は株価が下げていた期間の下げ幅(632円)を11月17日から上方向に伸ばして計算したもので、目標値は2万6,689円です。

 N計算値は、11月17日までの上げ幅(3,109円)を11月20日を起点に計算したもので、こちらは2万8,534円になります。

 E計算値は、11月17日までの上げ幅をさらに上に積み上げて計算したもので、2万9,166円です。

 現在の株価はV計算値あたりですが、引き続きN計算値やE計算値まで上昇した場合、微妙に届かない距離感で一応は3万円台に近づきます。あくまでも上昇の勢いが続くという前提ではありますが、テクニカル分析の理屈の上では、日経平均の3万円台トライはあながち夢物語ではない(?)ことになります。

 となると、3万円台に届かせるための上昇の原動力についても考える必要があります。最近までの日経平均上昇の原動力として、主に指摘されているのは以下の4点です。

(1)コロナワクチンへの期待
(2)金融緩和期待
(3)需給要因(売り方の買い戻し)
(4)日本株への再評価

(1)については、先週の新型コロナウイルスの感染拡大によって景気敏感株が売られる場面が見られました。今週も感染状況の悪化が続けば同様の展開が見込まれますが、米ファイザー社と独ビオンテック社が共同開発しているワクチンについて、FDA(米食品医薬品局)が緊急使用に向けた認可の是非を来週12月10日に決定する予定となっているため、それまではIT・ハイテク関連をはじめとするグロース株が優位になるかもしれません。

(2)については、ECB(欧州中央銀行)理事会(12月10日)やFOMC(米連邦公開市場委員会/12月16日~17日)で、追加の金融緩和が期待されていますが、今週12月1日に米議会上院でパウエルFRB(米連邦準備制度理事会)議長による議会証言が予定されており、FOMCで追加緩和が決定されるか否かを先取りする動きとなるかもしれません。仮に緩和の予定がないとの市場が受け止めた場合には失望となりやすいので注意が必要です。(3)についても、来週末11日の「メジャーSQ」で需給イベントのピークになります。

(4)については、これまで低金利とデフレの象徴だった日本株が、コロナ禍によって各国の経済にブレーキがかかり、金融緩和も進んだことで、日本だけが特殊な存在ではなくなったことに加え、多くの資金を集めて株価が駆け上がってきたGAFAMなど米主力IT株の分散投資先として、これまで海外投資家に放置されてきた日本株に買いが入っている格好となっています。

 とりわけ(1)~(3)は、今週と来週がひとつのヤマ場となり、日経平均3万円トライの可否を占う節目になりそうです。(4)は比較的中長期的の材料になると思われ、しばらくはこの動向が続きそうですが、先週末時点の日経平均のPER(株価収益率)が27.38倍とかなり割高となっている他、先週は為替の円高が進行しても株高が続くという、従来のセオリーとは異なる動きも見せており、いつ調整が始まってもおかしくない状況であることは、頭の片隅に置いておく必要はありそうです。