米株市場は実体経済への懸念よりもコロナ克服への期待が強い

■(図3)NYダウ(日足)の動き(2020年11月20日取引終了時点)

出所:MARKETSPEEDⅡを元に筆者作成

 上の図3はNYダウの日足チャートです。

 前回のレポートでも紹介しましたが、NYダウの動きをたどると、「選挙前の警戒」で下落した後に、「選挙通過による楽観」で反発し、そして、ワクチン報道をきっかけに「コロナ克服への期待」で窓空けによる一段高となり、その後はもみ合いが続くという動きになっています。

 ワクチンについては、米ファイザー社と独ビオンテック社で共同開発しているワクチンの検査結果が90%を超える有効性を示したと報じられたのに続いて、少し前にワクチン開発で相場をにぎわせたモデルナ社のワクチンについても、検査での有効性が90%を超えたと発表され、さらに追い風になっています。

 その一方で、新型コロナウイルスの感染再拡大は続いています。米国や欧州では経済活動の規制や制限が相次ぎ、日本国内でもいわゆる「Go Toキャンペーン」の見直しが議論されるほどの状況です。

 それに伴って、国内外の株価も伸び悩んでいるわけですが、図3のNYダウのチャートを見ると、ワクチン報道によって空けた窓を埋めに行く動きになっていません。つまり、米株市場は足元の実体経済への懸念よりも、ワクチン開発によるコロナ克服への期待の方がまだ強いと考えることができます。

 NYダウについては先程も触れたように、米経済指標やブラックフライデーの状況が良好であれば、3万ドル水準や、6月8日と9月3日の高値同士を結んだラインまで上値をトライする可能性があるわけです。日経平均もこの流れに乗れれば再び2万6,000円台トライもありそうです。

 反対に、NYダウが下落となった場合、この上値ラインの平行線を複数描いたものが値動きの想定範囲となります。また、6月の「アイランドリバーサル」時のように窓空けで下落に転じた際には値動きが荒れる可能性があり、注意です。