日経平均の株価水準は経済回復を先取り、今後は調整含み?

 続いては株価水準です。

■(図2)日経平均(日足)とギャンアングル(2020年11月20日取引終了時点)

出所:MARKETSPEEDⅡを元に筆者作成

 上の図2は前回も紹介したギャンアングルです。

 3月19日を起点とする「コロナショック後からの戻りトレンド」の赤いギャンアングルと、昨年8月26日を起点とする「コロナショック前のトレンド」の青いギャンアングルの2つが描かれています。

 先週の日経平均は前週に上抜いた青いギャンアングルの8×1ライン上での推移となりました。青いギャンアングルはコロナショック前のトレンドの線ですので、「コロナ克服」のラインとして考えることができます。

 最近までの日経平均は、大統領選挙通過による買い戻しからワクチン相場への様相で、2万4,000円台から2万5,000円台、そして2万6,000円台と節目を次々と超えてきました。確かに、ワクチン開発は想定以上のスピードと有効性を示しながら進展しており、「コロナ克服」への期待は高いと言えますが、日経平均はコロナ克服後の経済回復をかなり先取りしてきた面があります。

 実際に、青いギャンアングルの8×1ラインと、赤いギャンアングルの3×1ラインが交差するのは時間軸としては再来週、株価水準的には2万5,000円前半ぐらいの株価水準ですので、株価の上昇ピッチはギャンアングル的にはかなり早く、株価上昇のスピード調整や上昇一服の可能性は先週よりも高まっていると言えます。

 仮に、足元の上昇が落ち着いた後は、先取りした期待と実体経済の動向とのあいだのギャップを埋めに行く展開が想定されます。米国では今週、11月の消費者信頼感指数をはじめ、10月の耐久財受注や個人消費支出、新築住宅販売などの経済指標の発表が相次ぐ他、週末27日(金)の「ブラックフライデー」からクリスマス商戦が本格化します。

 このように、足元の状況を整理すれば、「株価の上昇が一服し、調整含み」というのが基本的なシナリオになるのですが、実は「そう簡単にはいかない」のが悩ましいところです。