全ての銘柄が29年ぶりの高値になっているわけではない

 29年ぶりの高値と言われても多くの個人投資家が実感できない大きな理由、それは全ての銘柄が29年ぶりの高値になっているわけではない、という事実があるためです。29年前といえば、バブル崩壊の直後の時期ですから、分かりやすく30年前のバブル時の高値と今の株価を比べてみることにします。

 例えば自動車株であれば、トヨタ自動車(7203)ホンダ(7267)は明確に30年前のバブル時の株価水準を上回っています。一方で日産自動車(7201)はバブル時の株価水準を大きく下回っていますし、三菱自動車(7211)に至ってはバブル時の株価から30年近く右肩下がりで値下がりが続いています。

 また、ソニー(6758)アドバンテスト(6857)は、2000年のITバブル時につけた高値よりは下回っているものの、30年前のバブル時の水準は大きく上回っています。その一方、銀行株や証券株はバブル時の高値に遠く及ばないものばかりとなっています。

 このように、銘柄によって、バブル時の水準を大きく上回っているものと大きく下回っているものとが混在しているのです。そして個人投資家が好むような中低位株ほど、バブル時の水準を下回るものが目立っていることが、日経平均株価29年ぶりの高値と言われても実感がわかない大きな理由の一つになっていると感じます。