投票率は前回を上回るが、激戦州はトランプ氏が追い上げ

 その郵便投票は、11月3日未明時点で約6,400万票と、前回の期日前投票約5,800万票を超えている状況となっています。ちなみに今回の期日前投票は約1億票となっており、前回の投票総数約1億3,600万票の70%以上となっています。この結果、投票率は前回の60.1%を超え、67%に達するとの予測が出ています。

 投票率が上がるとバイデン氏有利、また、郵便投票が多くなることもバイデン氏にとって有利といわれています。しかし、トランプ大統領は郵便投票には不正が多いと主張し、11月3日を過ぎた郵便投票は無効とも主張しており、法廷闘争の準備を既に進めているようです。

 直近の世論調査ではトランプ大統領が追い上げていますが、バイデン氏リードは変わらない状況です。ただし、激戦州ではバイデン氏リードが2%台に縮まってきているため勝敗はまだまだ分からない状況となっています。世論調査では1,000人前後をサンプルとすることが多く、統計上、1,000人なら誤差は3%といわれています。例えばトランプ大統領の支持率が45%で誤差3%の場合、実際の支持率は42~48%となります。つまり、僅差(きんさ)の接戦州では、バイデン氏がリードしていても、結果は開票するまで分からないということになります。

 これまで何回かにわたって米大統領選直後のさまざまなシナリオをお伝えしてきましたが、マーケットの予想される動きと関連付けてもう一度まとめます。

(1)今回の選挙では郵便投票が多いため全体の結果判明が遅れる可能性が高いことから、トランプ大統領は選挙日当日の開票で優位に立った場合、一方的に勝利宣言をする可能性がある。しかし、これはフライングであるため、相場の動きに惑わされないように注意する必要がある。

(2)郵便投票の開票が進むにつれてバイデン氏優位が伝わると、株高、金利高、ドル高に動く可能性があるが、トランプ大統領が法廷闘争に持ち込む動きを見せ始めると、マーケットは不透明感から株安、ドル安に動く可能性もあり警戒したい。

(3)トランプ大統領がフロリダ州を落とした場合は、バイデン勝利の期待が一気に高まるため、株高、金利高、ドル高の動きになる可能性が高まる。

(4)その場合、トランプ大統領は敗北宣言をしない可能性があり、また、トランプ支持派が過激行動に出て、社会が騒然となることも想定され、米国不信任からマーケットはトリプル安(株安、金利高、ドル安)に動く可能性もあるため注意が必要。

(5)現時点でのマーケットサプライズはトランプ勝利であるが、その場合、最初の動きは、これまでバイデン勝利の期待による株高、金利高の巻き戻しになる可能性があるため、注意が必要。トランプ大統領が勝利宣言で大型景気対策や減税に触れれば、その後は株高、金利高、ドル高に。