欧米中央銀行の動きにも留意

 選挙の勝敗が通常通り4日に決まればよいのですが、上記のシナリオのように今回はかなりの混乱が予想されます。そして、その混乱の中で今週は米国大統領選以外にも注目しておく材料があります。

 米国大統領選挙の開票で混乱している最中、11月4~5日にFOMC(米連邦公開市場委員会)が開催されます。マーケットが混乱し、トリプル安のような動きになっているとFRB(米連邦準備制度理事会)が追加緩和に動く可能性もあるため、留意しておく必要があります。

 また、同じく11月4~5日にはBOE(英国中央銀行)の金融政策委員会があります。英国では新型コロナウイルス感染者が急増し、5日からロックダウンが計画され、景気後退懸念が高まるため追加緩和を示唆する可能性が想定されます。ドルの乱高下だけでなく、ポンドも乱高下する可能性もあるため注意が必要です。

 また、10月29日のECB(欧州中央銀行)理事会では、ラガルド総裁が記者会見で「景気回復の勢いは想定以上の速さで失われている」と述べ、次回12月の会合での追加緩和を強く示唆しましたが、同時に為替動向も注視していると発言しています。欧州も感染者が急増しており、各国で経済規制が相次ぐ中で、米大統領選によるドル安によってユーロが急騰した場合、12月を待たずに緊急ECB理事会開催のシナリオも加えた方がよいかもしれません。

 このように欧米の中央銀行は、今回の米大統領選挙は混乱を招く可能性があるとさまざまなシナリオを想定している可能性があります。こちらもそれなりの心の準備をしておいた方がよさそうです。