パターンA:同一のバランス型ファンド、積極型と安定型を2本買う人

 最初に紹介してみたいのは「同一のバランス型ファンドの、リスクの異なるファンドを2つ持つ」というパターンです。

 バランス型ファンドには、「安定運用、中間運用、積極運用」のような形で、株式投資比率の異なる3本をラインアップしているファンドがあります。同じ商品名のシリーズとして設定され、リスクの取り具合が異なっており、選択肢を提供している、という仕組みです。基本的には国内債券保有比率が高いほど安定運用とされます。

 このとき「積極運用型はちょっとリスクが高い気がするが、さりとて中間運用型は株式投資比率が低いような気がするので、積極運用型と中間運用型の2本を同時購入する」というのはあり得るかもしれません。自分なりのリスク調整方法としてはあってもよいと思います。

 ただし、個人的にはそこまで細かい調整はしなくてもいいと思います。それなら預貯金を少し手元に残して購入額を減らし、積極運用型ファンドを1つ買った方が管理は簡単になり、リスクの総量は大して変わらないからです。

 もっとも意味がないのは「安定運用型と積極運用型を2つ買って、リスクを分散する」というような人です。投資について理解度の高い方からするとほとんど意味がない選択ですが、投資教育の現場ではときどき見かける事例です。

 これは当然ながら、中間型のファンドを1つ買っておけばいいことになります。あえて2本持つ意味がありません。むしろそれでリスクを抑えたような気分になっていることの危うさがあります。

 同一シリーズのバランス型ファンドについては、1つ保有することで十分に資産運用は可能と考えればいいでしょう。