普通の個人にとって便利な投資手法であるバランス型ファンド

 個人ができるだけ負担を少なく、かつ効率的な資産運用を考えたとき、投資信託は重要な選択肢の一つです。少額から分散投資が行えますし、銘柄の入れ替えなどはほとんど意識する必要がありません。海外市場への投資が容易になる点でもメリットがあります。

 さらに、国内外、あるいは不動産投資なども含めて、手軽な運用を投資信託で行おうとするなら、バランス型ファンドという選択肢が浮上してきます。最近流行のバランス型ファンドであれば、「国内株式」「国内債券」「外国株式(先進国)」「外国債券(先進国)」「外国株式(新興国)」「外国債券(新興国)」「不動産投資(国内・国外)」など、一つのファンドを購入するだけで、投資の射程に収めることができます。

 また、基本ポートフォリオから時価がかい離したときは、元のポートフォリオに復するリバランスの機能もあり、負担が少なく、効率的投資ができるのもバランス型ファンドの魅力です。つみたてNISA(ニーサ:少額投資非課税制度)であれば、売却せず、リバランスができることで非課税投資の継続にもつながります。

 かつては、運用管理費用(信託報酬)が高く、アセットクラスごとのインデックスファンドを複数保有するほうにメリットがありましたが、近年は運用管理費用が低下したことにより、その差も大きく縮まっています。

 では、バランス型ファンドを何本も買うアプローチはあり、でしょうか。今回はそんなお題を考えてみたいと思います。

パターンA:同一のバランス型ファンド、積極型と安定型を2本買う人

 最初に紹介してみたいのは「同一のバランス型ファンドの、リスクの異なるファンドを2つ持つ」というパターンです。

 バランス型ファンドには、「安定運用、中間運用、積極運用」のような形で、株式投資比率の異なる3本をラインアップしているファンドがあります。同じ商品名のシリーズとして設定され、リスクの取り具合が異なっており、選択肢を提供している、という仕組みです。基本的には国内債券保有比率が高いほど安定運用とされます。

 このとき「積極運用型はちょっとリスクが高い気がするが、さりとて中間運用型は株式投資比率が低いような気がするので、積極運用型と中間運用型の2本を同時購入する」というのはあり得るかもしれません。自分なりのリスク調整方法としてはあってもよいと思います。

 ただし、個人的にはそこまで細かい調整はしなくてもいいと思います。それなら預貯金を少し手元に残して購入額を減らし、積極運用型ファンドを1つ買った方が管理は簡単になり、リスクの総量は大して変わらないからです。

 もっとも意味がないのは「安定運用型と積極運用型を2つ買って、リスクを分散する」というような人です。投資について理解度の高い方からするとほとんど意味がない選択ですが、投資教育の現場ではときどき見かける事例です。

 これは当然ながら、中間型のファンドを1つ買っておけばいいことになります。あえて2本持つ意味がありません。むしろそれでリスクを抑えたような気分になっていることの危うさがあります。

 同一シリーズのバランス型ファンドについては、1つ保有することで十分に資産運用は可能と考えればいいでしょう。

パターンB:違うバランス型ファンドを複数買う人

 もうひとつのパターンは、いろんなバランス型ファンドをたくさん買う、というものです。

 もう一つのパターンは、いろんなバランス型ファンドをたくさん買う、というものです。

 バランス型ファンドといっても詳細はずいぶん違います。例えば運用方針に着目してみると、下記のようなポイントで違いが見られます。

・各アセットクラスの投資方針がインデックス運用かそれ以外か

・外国株式、外国債券の投資に新興国が含まれるか先進国のみか

・不動産投資が含まれるか含まれないか

・アセットクラスの保有比率が均等かそうでないか

・運用管理費用(信託報酬)はどの程度か

 設定に違いがあるということは選択肢が多様化しているということですから、それ自体は悪いことではありません。しかし、私たちがどうチョイスすべきかについては、検討する必要があります。

 基本的に、自分の投資スタンスが整理できれば複数持つ理由は説明がつくでしょう。例えば、「投資資金の多くはREIT(リート:不動産投資信託)を含まないバランス型ファンドで運用したいが、少しだけREITも含むバランス型ファンドを買いたい」のような組み合わせはあるかもしれません。

 ただ、それならREITを含まないバランス型ファンドで基本的に運用しつつ、REITのみで運用をするファンドを少し買えば十分と言えます。個人の投資資金額を考えると、複数のバランス型ファンドを持つことで改善される投資効率はあまり大きくならないでしょう。

 それよりも、管理のしやすさ、分かりやすさを重視するほうがいいように思います。そもそもバランス型ファンドが一つで複数の投資対象に運用できるわけで、いくつも持つと管理の負担が増します。

 ちなみに私自身は、つみたてNISA(ニーサ:少額投資非課税制度)で何本もバランス型ファンドを購入しています。ただ、これは職業上の好奇心に近いものがあって、運用の効率化を図っているとは特に考えていません。ただ、複数のバランス型ファンドを持つことで「いろいろ見比べるおもしろさ」があり、また投資に関する興味関心を高める効果もあります。

バランス型ファンドのメリットを上手に生かして資産運用しよう

 異なるバランス型ファンドは、異なる資産配分比率や異なるインデックスを採用していることがあります。また為替ヘッジの方針が異なる場合もあり、運用成績が同一にはなることはありません。特に株式投資比率と外国への投資比率、またその内に占める新興国投資比率などが運用成績を大きく変えることがあります。

 複数のバランス型ファンドを持つメリットがあるとしたら、「一つだけを持っていて、運用成績がさえないときのガッカリ感を減らす」ことがあるかもしれません。

 2本以上持っていれば、「こっちは負けているけど、こっちは勝っているから」と留飲を下げることができます(異なるポートフォリオを持つ2つのファンドで勝ち負けを競うことはあまり意味がありませんし、2本あればどちらかは勝つわけだが)。

 ただし、バランス型ファンドの優劣を評価するのは簡単ではありません。資産配分が異なれば運用成績が変わりますが、どちらの資産配分が適当であったかを評価するのは一般の個人には難しいでしょう。

 バランス型ファンドのメリットである、「難しく考えなくても分散投資ができる」を生かすのであれば、あまり短期的な優劣は気にせず、中長期的に積立投資をしてみたいものです(ただし、運用コストの低下は乗り換え理由としてもいい)。

 一般個人が適度にリスクを取りつつ長期的な資産形成の選択肢として投資を組み入れるのであれば、バランス型ファンドは現実的な選択肢です。世界中の経済成長に投資を続けていたら、10~20年後には元本を大きく上回っていたし、ほとんどメンテナンスフリーだったことを考えれば上々だと考えて、つき合えると理想的でしょう。