東証マザーズには、利益がまだあまり出ていない銘柄が多い

 東証マザーズ指数の過去3年の動きを、振り返ってみましょう。

東証マザーズ指数の動き:2017年10月~2020年10月(24日)

 東証マザーズ指数は、2018年1月に高値(1355.55)をつけた後、下落が続き、コロナショック後の2020年3月には、一時557.86まで下げました。そこから急騰、2020年10月には、一時1,365.49まで上昇し、2018年1月の高値を少しだけ超えました。そこから、高値警戒感が強まって、急反落したところです。

 東証マザーズには、時代の波に乗った成長株が多く、それが人気の理由です。ところが、現時点でまだ赤字や、わずかしか利益が出ていない銘柄が多いことが難点です。

 2018年1月に高値をつけた時、マザーズの時価総額上位には、そーせい(4565)ミクシィ(2121)サイバーダイン(7779)ジーエヌアイ(2160)サンバイオ(4592)などがありました。当時、ミクシィ以外は、赤字でした。

 その後、ミクシィは東証一部に移り、そーせいとジーエヌアイは黒字化しました。ただし、サイバーダインとサンバイオは今も赤字が続いています。

 今月、東証マザーズは、2018年1月の高値を一時抜きました。現在、東証マザーズ市場の時価総額上位を見てみましょう。メルカリ(4385)フリー(4478)ラクス(3923)弁護士ドットコム(6027)BASE(4477)などがあります。うち、メルカリ・フリー・BASEはまだ赤字見通しです。メルカリは国内メルカリ事業で高い利益を上げていますが、海外事業などの赤字が響いて、赤字が続いています。フリーは、売上高が大きく伸びており、将来が楽しみですが、利益はまだ赤字です。

 ラクスは黒字でも、予想PER(株価収益率)は144倍と高水準になっています。弁護士ドットコムも黒字ですが、予想PERは622倍です。

 このように東証マザーズには、将来有望な企業群が多いものの、まだ収益的には評価できない企業が多いと言えます。

 東証マザーズの見通しですが、しばらく下げが続く可能性を警戒すべきです。短期的に株価がかなり過熱しているため、長期的に有望でも、短期的には要警戒シグナルが点灯していると考えています。東証マザーズ株をたくさん持ちすぎている方は、利益確定(または損失確定)で少し売って、保有を減らして様子見することも、選択肢となると思います。

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