クリーン・エネルギー株への分散投資戦略を検討する

 こうしたクリーン・エネルギー(脱・地球温暖化対応)関連株や環境(エコ)関連株に分散投資を実践する投資商品として米国籍ETF(上場投信)や追加型公募投信もあります(図表4)。

 例えば、世界のクリーン・エネルギー関連企業で構成されるS&Pグローバル指数に連動する投資成果を目指す「iシェアーズ・グローバル・クリーンエネルギーETF」(米国籍ETF:ICLN)の取引価格は3カ月前比で約5割、年初来では約8割上昇しています。

 これらファンドの取引価格(基準価額)の堅調は、バイデン氏の優勢が鮮明となった夏ごろからスタートしました。大統領選挙の争点は多岐にわたりますが、投資テーマの一つとして「環境問題への取り組み」が注目されています。

 図表1で示したとおり、直近時点の「当選予想」はバイデン候補が優勢です。選挙結果の行方に予断を許しませんが、投資テーマの物色が動きはじめた様子です。

 トランプ大統領は、オバマ政権が進めたパリ協定からの脱却を2017年初に決定。石油・シェールオイル関連・石炭産業(二酸化炭素排出産業)を支援する目的で、関連規制の緩和に動いた経緯があります。

 トランプ大統領が再選に失敗する(=バイデン氏が当選する)場合、伝統的なエネルギー株が劣勢を余儀なくされる可能性があり留意したいと思います。

 なお、今回の大統領選挙は、本選挙(11月3日)直後に当選・落選が決定しない可能性も警戒されています。「司法判断」(最高裁による判断)を待つ展開となれば、12月にかけて株式市場が不安定な動きを続けるリスクがあります。

 とはいっても、やや長い時間軸で「選挙結果は早晩明らかになる」とのシナリオに立てば、クリーン・エネルギー関連株への分散投資を検討する意義がありそうです。

<図表4>クリーン・エネルギー分野に分散投資できるファンド

*米国籍ETFの取引価格はドル表示、追加型投信の基準価額は円表示。
*上記の「騰落率」は分配金によるリターンを含んでいません。
*上記は参考情報であり特定の投資商品を推奨するものではありません。
出所:Bloombergより楽天証券経済研究所作成(2020年10月7日)

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