金相場は先週末、“混乱拡大→有事のムードの高まり”で一時反発

 金相場は、トランプ大統領の感染告白のツイートの直後、上昇しました。先ほどの図「図:10月1日(木)と2日(金)の騰落率」で示した日次ベースの騰落率では、金はマイナスだったことがわかりますが、同ツイートの直後は一時的に、上昇しました。

図:NY金先物価格(中心限月)の推移 (15分足) 単位:ドル/トロイオンス
※時刻は日本時間

出所:ミンカブ・ジ・インフォノイドの資料より筆者作成

 強い不安心理の拡大、いわゆる“有事のムード”が拡大したこと、同時に発生した景気減速懸念を織り込んだ株安による“代替資産”としての物色が進んだことが要因とみられます。

 金市場をとりまくテーマは、筆者は少なくとも5つあると考えています。“有事のムード”、“代替資産”、“代替通貨”、“中国インドの宝飾需要”そして、“中央銀行”です。この時間帯は、“有事のムード”と“代替資産”の側面から、短期的に買われたと考えられます。

図:10月2日(金)に発生した上昇時の金市場の環境

出所:筆者作成

 金が上昇した時間帯、ドルは上昇していたため、“代替通貨”の側面では、下落圧力がかかっていたと言えます。また、主要な株価指数の下落が見られたことから、景気減速懸念が生じ、新興国経済がダメージを受ける可能性が生じ、新興国の宝飾需要が減少する懸念が発生したことも、少なからず、下落圧力をかけたとみられます。

 複数のテーマが上昇・下落、両方の要因となり、それらが相殺され、その結果、上昇要因が勝り、価格が上昇した、と言えると思います。次は、ツイート直後の原油の値動きについてみていきます。