原油相場は先週末、株式市場の不安定化・石油の消費減少懸念が高まったことで、大幅安。

 金相場は、トランプ大統領の感染告白ツイートの直後、下落要因がありながらも、上昇要因がそれを相殺し、短期的に上昇しました。原油相場はどうでしょうか。

図:WTI原油先物価格(中心限月)の推移 (15分足) 単位:ドル/バレル
※時刻は日本時間

出所:ミンカブ・ジ・インフォノイドの資料より筆者作成

 上図のとおり、ツイート直後、原油相場は下落しました。その後、37ドルを割り込んだあたりで、下げ止まりました。ツイート直後に原油価格が下落した要因は、少なくとも2つ、あると筆者は考えています。

 1つ目は、強い不安心理が拡大したことで起きた株価下落により、景気回復が遠のく懸念が急速に強まり、石油の消費回復が見込みにくくなることが想起された点です。法人税増税を標榜するバイデン氏が次期大統領に就任するシナリオが意識された点も、株価下落の一因になったと考えられます。

 2つ目は、パリ協定復帰を含んだクリーンエネルギー政策を推進するバイデン氏が次期大統領に就任し、今後、米国の石油消費量が減少する、との見方が強まったとみられる点です。原油相場は、このような複数の下落要因が作用したため、大きく下落したと考えられます。

 一方で、ツイートによって生じた上昇要因も存在すると、筆者は考えています。2017年1月の就任後、数年間、原油高とそれを誘発しようと画策してきたOPECをけん制したトランプ大統領が、次期大統領にならなかった場合、それらをけん制する力が減退する可能性がある点です。

 原油も、金と同様、上昇・下落、複数の材料が交錯し、価格が推移したと、考えられます。