「いい感じ」だった経済回復に水差すコロナ感染再拡大

「抗コロナウイルスワクチンの早期開発による、コロナ禍からの力強い経済回復を前提に、その時まで各国の金融・財政政策が支える」というのが中長期の想定シナリオかと思われますが、もしかしたらそれが揺らいでしまう懸念が出てきているのかもしれません。

 とりわけ、欧州で再拡大しているコロナ感染者については、米国をはじめ、「Go Toトラベル」キャンペーンに沸く日本や、国慶節の連休で6億人以上が大移動すると言われている中国なども警戒されそうなことや、さらに、北半球ではウイルス感染が流行しやすいとされる季節に向かいます。実際にそうなってしまうと、最近まで「いい感じ」で進んでいた経済回復の足を引っ張る可能性が出てくるわけです。となれば、グロース株とバリュー株の循環物色サイクルにも狂いが生じてきます。

 米大統領選挙戦や米中対立などの行方も政治的要素が強い分、先取りして織り込めないこともあり、10月の株式市場は、過熱の修正なのか、それともシナリオの修正なのか、「調整の意味」を模索していくことになりそうです。

■(図5)米NASDAQの平均足(週足)とMACD(2020年9月25日取引終了時点)

出所:MARKETSPEEDⅡを元に筆者作成

 最後に、これまでのレポートでも懸念していた、米NASDAQ(週足)の平均足の陰転とMACDのシグナル下抜けによるトレンド転換のサインが出ているだけに、今週は米国株市場の粘り腰が試されることになります。

 特に、今週29日(火)にNASDAQ上場の半導体製造企業のマイクロンテクノロジーが決算を発表する予定です。内容次第では他の半導体関連企業にも影響を与えることも考えられ、ひとつのヤマ場になるかもしれません。