過去最大の下げ幅を記録したGPIF2019年度第4四半期
過去何度も繰り返してきていることですが、国の年金運用の上げ下げはニュースの格好のネタです。
そして、一般的な印象は「国の年金運用はしばしば大きく損失を出している」というものでしょう。資産運用に関心がない人ほどそのような印象を持っています。年金運用が失敗して、公的年金が破たんすると信じている人すらいます。
ある程度運用について承知している人であれば、国の年金運用を行うGPIF(年金積立金管理運用独立行政法人)は世界最大規模の機関投資家であり、また中長期的には堅調な成績を上げている団体でもあります。
しかし、市場の平均的騰落と無関係に稼いでいるわけではありません(運用の中核もインデックス運用である)。2019年度第4四半期、つまり2020年の1-3月期には運用で17.7兆円の損失を出し、利回りでは▲10.7%となりました。これが過去最大であると報じられました。これはもちろん、新型コロナウイルスの影響で市場が大きく下げたことによります。特に3月末はまだ新型コロナウイルスの脅威が未知数である中、世界的にパンデミックの様相を呈しており、年初から大きく下げました。
といっても、実は第3四半期までに9.4兆円稼いでいたので「年度」としてみれば、▲8.28兆円にとどまるのですが、ニュースはやはり「17.7兆円の損」に集中しました。
社会に漂っていた不安感ともあいまって、公的年金不安も意識させるニュースが記憶にある人も多いと思います。