いやそれってただ戻っただけじゃない!と思えるアタマがあるかどうかは大事な分岐点

 さて、こういうふうに文章をまとめると「いや、それ、下がって戻っただけのことじゃないですか!」という感想を抱くことでしょう。実はそのとおりです。

 しかし、3月末の数字は多くの人の目に触れ、多くの人が批判をしました。対して、6月末の数字は多数の目に触れたとはいえず、また3カ月前に見合うほどの高評価を得ていません。

 この半年間は、メディアリテラシーの教科書としても、資産運用の教科書としても興味深い時期となったように思います。

 この半年間が分かりやすい示唆となったのは、「17兆円下げた」というのと「12兆円上げた」というのが連続して起きたからです。

 短期的には株式市場は30%以上値下がりすることもありますが、1年以上続くことはリーマン・ショック時でもありません。たとえば「2019年度」としてみれば、GPIFの運用成績はマイナス5.20%に収まります。

 短期的には値動きは上下動する、という事実は教科書的には言われますが、今回具体的な形で示されることになりました。

「株式市場は短期的には大きな上下動をする」
「未来のことは確実ではないが、中長期的には経済は回復する」

 このことを学べた人とそうでない人には、大きな違いがあるでしょう。