ECBはユーロ高に警戒

 FOMCを注視しているのはマーケットの投資家だけではありません。

 9月10日のECB(欧州中央銀行)理事会では政策変更はありませんでしたが、注目されていたユーロ高については言及がありました。ラガルドECB総裁は記者会見で「ユーロの上昇は物価に悪影響を及ぼすため、注意深く見守る」と牽(けん)制しました。しかし、「理事会でまさに幅広く議論されたが、為替相場は政策目標ではないし、水準にはコメントしない」と直球の牽制球は控えました。それでも、ユーロ圏の物価は8月にマイナスに転じたことから、ラガルド総裁は記者会見でユーロ高への警戒を繰り返し表明しました。このためユーロが1.20を超えてくるとマーケットの警戒感は高まることが予想されます。

 ユーロ高の原因の一つは米国の金融緩和の長期化傾向であるため、ECBは米国の金融政策をにらみながらの難しい政策運営になりそうです。FRBが追加緩和をすれば、ECBも追随せざるを得なくなり、ユーロの下押し圧力になります。

米国の追加経済対策の行方

 米国の追加経済対策は与野党で依然平行線であり、この様子だと11月の大統領選後まで決まらない可能性があります。また、FOMCは10月には開催されないため、もし、16日のFOMCで追加緩和策がなければ、11月の米大統領選挙まで財政支援も金融支援もない状態が続くことが予想されます。これは、株式・金融市場にとっては厳しい環境になるかもしれません。

 FOMCの結果がマーケットの期待ほどハト派でなければ(もう既にハト派だとは思うのですが…)、失望感から株は下落し、ドル高に反応するかもしれません。しかし、それは一時的な反応で、9~10月の経済指標で消費の息切れ感、製造の足踏みの兆しが出始めれば、本格的な株の調整が起こることも予想されます。ドルにとっては株安によるドル安の可能性もあり、9~10月の経済指標を注視する必要があります。