石油需要減は物価下押し圧力に

 また、原油は、新型コロナウイルスの感染拡大が世界全体ではいまだ増加傾向にあるため、世界の需要減少を察知し、8月の終わりからWTI(ウエスト・テキサス・インターミディエイト)は急落し、40ドルを割ってきました。

 OPEC(石油輸出国機構)は14日、世界の2020年の石油需要の見通しを下方修正しました。前月の予想より0.4%少ない日量9,023万バレル(前年比9%減)の予測です。2021年の需要も2020年より増えるものの前月予想から下方修正しています。また、民間企業の英BPも、14日、世界の石油需要が既にピークを過ぎた可能性があるとの見通しを示しました。新型コロナウイルスの影響による世界経済の悪化や行動様式の変化で、感染拡大前の水準に戻らないシナリオも想定しているようです。

 石油需要減少による価格低下は、物価下押し圧力となり、中央銀行の金融政策に影響を及ぼすことが予想されます。そのため、今回の急落は一時的な動きなのかどうか、今後、原油価格動向を注目していく必要があります。

FOMCの注目点

 今週のFOMCでは、追加緩和やフォワードガイダンスの修正が期待されていますが、8月の講演でパウエル議長はFRB(米連邦準備制度理事会)の長期目標改定の声明を発表し、「平均インフレ目標2%の導入」を表明したばかりであるため、フォワードガイダンスの修正があっても、この声明の焼き直しかもしれません。注目したいのは四半期に1度発表される金利、景気見通しです。今後、インフレが2%を超えても許容すると説明しているため、マーケットが期待するゼロ金利政策の長期化や物価見通しが、どのように反映されるのかマーケットは注目しています。

 米ケーブルテレビCNBCは、15日、エコノミスト37人を対象とした予測調査で、FRBの政策金利の引き上げ時期は平均で2023年2月との調査結果を発表しました。また、回答者の48%が、物価上昇率が2%を超えてもその後6カ月~1年は低金利政策が維持されるとの予測結果となっています。