南半球から中国への食肉輸入量が増加

 中国国内での生産量では足りなくなったため、中国の大豆輸入量は、90年代後半から急増しはじめました。大豆価格が急騰した時期(2006~2008年)は、中国の大豆生産量減少と輸入量増加が同時に起きました。生活が豊かになり食肉需要が増加する中、エサとなる大豆を輸入に頼る状況が鮮明になったのです。

 また、以下の図は、中国国外の事情に関連する、中国の相手国別食肉輸入額です。

単位:百万ドル
出所:UNCTAD(国連貿易開発会議)のデータより筆者作成

 

 大豆価格が急騰した2006年から、中国の食肉輸入額が急増しています。特に、ブラジル、ニュージーランド、オーストラリア、ウルグアイなど南半球の国々からの輸入額の増加が目立つようになりました。中国経済の発展のスピードが増し、中国国内の食肉消費量が増えたことで、中国に肉を輸出している国における大豆などの穀物消費量が増大したとみられます。

 この大豆価格の急騰を「風が吹けば桶屋がもうかる」にあてはめれば、「中国が金持ちになったら大豆価格が急騰した」となります。

 

 今回は、2006年半ばから2008年半ばの2年間で、価格がおよそ3倍となった大豆について書きました。

 大豆の需給はさまざまな要因で変動しています。最近の大豆の需給動向については、筆者のレポート「今や大豆は政治的武器。米中貿易戦争に翻ろうされる大豆の行方は?」をご参照ください。