続いて、日経ダブルインバース型ETFです。

■(図3)日経ダブルインバース型ETF(週足)と信用残の動き(2020年8月21日取引終了時点)

出所:MARKETSPEEDⅡを元に筆者作成

 インバース型ETFとは、対象となる資産の価格が下がると利益が狙えるタイプのETFです。また、ダブルという言葉が示すように、レバレッジ型と同じく値動きが2倍となります。

 こちらも、下段の信用残に注目すると、買い残がかなり積み上っています。8月14日時点で過去最高水準の約1億3,062万口です。

 つまり、日経レバレッジ型ETFも日経ダブルインバース型ETFも、信用残の積み上がり状況から見れば、「日経平均は今後下りそう」と予想している動きが強いと思われます。

 仮に、今週以降の日経平均が持ち直し、直近高値(8月14日の2万3,338円)をトライするような動きになると、思惑が外れた信用取引のポジションが損失拡大を回避するために整理され、「踏み上げ」の格好で日経平均の上昇が加速する可能性があるわけです。コロナ・ショックで日経平均が底を打ったのが3月19日とすると、制度信用取引の期日の6カ月後は9月ですので、信用期日的にも整理が進みやすいタイミングに差し掛かろうとしています。

 もちろん、日経平均が上昇すれば、ポジション整理とともに、レバレッジ型ETFの新規買いも増えるため、ある程度相殺される面もありますが、需給の影響による株価の上振れシナリオは一応、頭の中に入れておいた方が良いかもしれません。