需給の影響による株価の上振れシナリオ

 その一方で、株価が大きく上昇するかもしれないシナリオも残されています。その理由として考えられるのは需給面です。具体的には、日経平均を対象とする指数連動型ETFである日経レバレッジ型ETF(1570)と、日経ダブルインバース型ETF(1357)の信用取引における残高動向です。

■(図2)日経レバレッジ型ETF(週足)と信用残の動き(2020年8月21日取引終了時点)

出所:MARKETSPEEDⅡを元に筆者作成

 日経レバレッジ型ETFは、日経平均の動きに連動しつつ、値動きが2倍となるタイプのETFです。図2の下段はその日経レバレッジ型ETFの信用残の推移です。赤が買い残、青が売り残を示しています。

 買い残については、日経平均がいわゆる「コロナ・ショック」の急落タイミングで買い残が急増し、株価が底打ちとなる3月中旬から下旬あたりでピークを迎えます。その後は株価上昇に伴って減少していき、7月末にやや増加するも再び減少し、8月14日時点では今年最少の残高となっているほか、売り残よりも少なくなっています。売り残については、4月中旬以降ほぼ横ばいの推移となっています。