思考の枠組みとしての「適応的市場仮説」

 詳しくは、ローの本に当たってほしいが、適応的市場仮説は、物事を理解する枠組みであって、枠組みだけを理解しても、何かが予想できるようになったり、投資でもうけられるようになったりするような「直接的なもうけの種」ではない。

 進化論を知っていても、将来繁栄する生物を予測することが容易ではないのと事情はたぶん一緒だ。

 しかし、進化論を理解している人と、していない人とでは、世界の見え方が違うだろうし、「理解」に対する満足度が異なるだろう。

 本書の後半では、適応的市場仮説が説明された後に、ヘッジファンド業界の話、金融危機の解釈、今後の金融の改善策などに話が広がる。