雇用市場に目詰まり発生?

 米国の雇用の実情を正確に把握するには、BLS発表の雇用統計よりも、むしろ「失業保険申請件数」を見るべきかもしれません。というのは、雇用統計は企業がアンケートに回答する形式ですが、失業保険は職を失った人が申請した件数だからです。真剣さが違うのです。

 7月25日の週分の「新規」失業保険申請件数は1万2,000件増加して143万件。増加はよくない傾向ですが、それより心配なのは、7月18日週分の失業保険「継続」受給者数が、87万人増加して1,702万人になったこと。継続受給者数が増えたのは5月以来のことで、なにを意味するかというと、再雇用の数(失業保険からの流出)が、失業で申請する人(失業保険への流入)の数を相殺できなかったということです。つまり、雇用の「再吸収」に目詰まりがでてきたということです。実際、再雇用のペースは、4月下旬以降でもっとも少なくなっています。コロナ感染拡大による米国の経済再開の遅れが影響していることは明らかです。

 FOMC(米連邦公開市場委員会)は7月の会合で、米経済回復の鈍さが雇用回復の遅れにつながることを非常に懸念していました。今回の雇用統計は、FOMCのおそれが現実のものになっているかを判断するための重要なデータになるでしょう。