異次元の雇用市場

 米国の雇用市場は、まるで狂ったパソコンのように突然ブラックアウトしたかと思ったら、あっという間に再起動するような事態が発生しています。今年2月までは半世紀ぶりの低失業率を謳歌していた米国経済が、翌月には戦後最悪の水準まで急速に悪化。コロナウイルスが米国の労働市場から3月と4月のわずか2カ月間で2,200万人もの職を奪ったからです。ところが、それをたった2カ月間で30%以上も取り戻しました。一度失業した人が、従来の景気サイクルでは起こりえないスピードで仕事に戻っているのです。これまで市場が経験してきたような「経済が次第に良くなって、だんだんバブルに発展して、最後は破裂して不況になる」というタイムスパンとはまったく異次元の世界のことが起きているのです。