将来的には、株と金の“逆相関”が定着!?大阪市場特有の事象が生まれる可能性も!?

 例えば、テクニカル分析指標をもとにした分析がぴったりとあてはまるケースがあります。テクニカル分析指標が出したシグナルが結果的に当たったケースにおいて、そのうちのいくつかは、多くの投資家がそのシグナルに注目し、その多くの投資家がそのシグナルに従って買ったから(売ったから)、価格が上昇した(下落した)、つまり、多くの投資家の思惑が一致したために、それらの投資家の売買によって価格が動いたケースがあると考えられます。

 この点を、株と金の値動きにあてはめて考えれば、“株と金は逆相関の関係だ”と従来通りの主張を強く踏襲する投資家が大多数を占め、かつ株価が下落した場合、そのような投資家の買いが優勢になり、金価格が上昇する可能性があります。

 たとえ、世界の指標であるドル建て指標で、“株安・金安”が見られても、大阪市場の円建ての株価指数先物と金先物においては、“株が下がっている時は、金は上がるものだ”と強く思い込んでいる投資家が大多数を占めれば、円建て市場では、“株安・金高”が起きる可能性があります。

 また、以下のとおり、時間帯別の日経225mini先物と東京金ミニ先物の出来高※を見ると、アジア時間は同じ山と谷を描いているものの、米国時間は様子が異なります。東京金ミニ先物は、米国時間の方が、取引が多いことがわかります。

※売買の結果で、市場の規模を計る目安の一つ。1枚の買い注文に1枚の売り注文が見合って、出来高1枚。

 総合取引所化し、格段に利便性が高まった環境で、多数の株式投資家が、大阪金が米国時間をメインとする米国の金先物市場の値動きを映す傾向があることに気づいたとします。

 この気づきが、多数の株式投資家の間に広がり、この時間帯に株と金の売買のチャンスを見出す投資家が増えれば、大阪金の存在をきっかけに、(大阪金そのものもさることながら)日経225先物の夜間の売買が増加する可能性も出てきます。

図:日経225mini先物と東京金ミニ先物の時間別の平均出来高 単位:枚

出所:ブルームバーグより筆者作成
※期間は2020年3月2日から7月17日まで

 総合取引所化は、投資家、取引所、証券会社などの業者などの多数の関係者にとって、非常に大きな節目です。株価指数先物と商品先物の売買が、相乗効果で、ともに飛躍的に活発化することが望まれます。筆者としても、今回の総合取引所化で、レポートするテーマが広がりました。株とコモディティの関係について、これまで以上に情報を発信していきたいと思います。

[参考]貴金属関連の具体的な投資商品

純金積立

金(プラチナ、銀もあり)

国内ETF/ETN

1326 SPDRゴールド・シェア
1328 金価格連動型上場投資信託
1540 純金上場信託(現物国内保管型)
2036 NEXT NOTES 日経・TOCOM金ダブル・ブルETN
2037 NEXT NOTES 日経・TOCOM金ベアETN

海外ETF

GLDM SPDRゴールド・ミニシェアーズ・トラスト
IAU iシェアーズ・ゴールド・トラスト
GDX ヴァンエック・ベクトル・金鉱株ETF

投資信託

ステートストリート・ゴールドファンド(為替ヘッジあり)
ピクテ・ゴールド(為替ヘッジあり)
ピクテ・ゴールド(為替ヘッジなし)
三菱UFJ純金ファンド

外国株

ABX Barrick Gold:バリック・ゴールド
AU AngloGold:アングロゴールド・アシャンティ
AEM Agnico Eagle Mines:アグニコ・イーグル・マインズ
FNV フランコ・ネバダ
GFI Gold Fields:ゴールド・フィールズ

国内商品先物

金、ミニ金、ゴールド100(プラチナ、銀、パラジウムもあり)

海外商品先物

金、ミニ金、マイクロ金(銀、ミニ銀もあり)