目先、高い相関関係に逆らわず、短期的な “株買い・金買い”、“株売り・金売り”が有効?

 具体的な売買戦略を考えるにあたり、前提条件を確認します。日経225先物miniも、大阪金ミニ先物も、ともに“先物取引”です。つまり、ともに、同じポジションを持ち続ける上で、期限(スケジュール的な制限)があります(1)。

 また、先物取引は、証拠金取引という、本来動かしている資金の額よりも少ない額で取引に参加できる、てこの原理が働いている取引であるため、短時間に大きな損益が発生する場合があります(2)。

(1)期限がある、(2)てこの原理が働いている、という2点から考えれば、おのずと、中長期的な売買戦略ではなく、数分間から長くても数日間の短期的な売買を想定することになるでしょう。

 また、これらの銘柄を、一定の根拠を持ってワンセットとみなして発注する場合、証拠金の金額を基準にすれば、日経225mini先物を1枚(8万7,000円)、大阪金ミニ先物を4枚(2万3,400円×4枚→9万3,600円)となるでしょう(証拠金の額は2020年7月17日時点)。

 期限が到来した場合、次の限月(げんげつ)に乗り換える“ロールオーバー”をしながら、疑似的に長期投資をすることも可能ですが、この場合、必ずしも同日ではない日経225先物miniと大阪金ミニ先物の取引最終日※を把握して、決済する日を自分で決めて実行(決済)する手間と、新規・決済の注文の都度発生する手数料などのコストをかけることになります。

※大阪金ミニ先物の納会日は、取引業者が定める場合があります。

 先述のとおり、3月2日(月)から7月17日(金)までの95営業日の、日経225mini先物と東京金ミニ先物(7月27日から大阪金ミニ先物)の15分足の終値の相関係数は、+0.82、と比較的強い連動性を示すものでした。

 以下は、これらの1日あたりと時間帯別の相関係数です。アジア時間は8時45分から15時15分、欧州時間は16時30分から20時45分、米国時間は21時から翌5時30分としています(いずれも日本時間)。

図:日経225mini先物と東京金ミニ先物の、相関係数+0.7以上と-0.7以下の時間帯別日数

出所:ブルームバーグより筆者作成
※15分足の終値を参照
※2020年3月2日から7月17日まで。
※3月2日から6日(サマータイム以外)は、欧州、米国時間を1時間後ろ倒し。

 この期間は、特にアジア時間で、日経225miniと東京金ミニ先物の連動性の高さが目立ちました。5日に1回程度、+0.7以上の比較的高い連動性が見られました。

 これらの情報をもとにした、具体的な戦略としては、欧米での大規模な金融緩和や、実態がない可能性がある株高への警戒感が続き、株高・金高も続く可能性があるのであれば、株が高い時に金を買う、一時的に株が調整して下落した時に金を売る、その時間帯は、できればアジア時間でアジア時間中に取引を終える、となると思います。

※売買は、ご自身の判断で行ってください。売買の際は、日経225mini先物、大阪金ミニ先物、それぞれの商品設計と手数料などのコストを必ずご確認ください。