上昇基調につながるか、連休後のコロナ情勢の見極めを

■(図3)日経平均と騰落レシオの推移(25日・7月17日取引終了時点)

出所:MARKETSPEEDⅡを元に筆者作成

 上の図3は、ここ1カ月半の日経平均と東証1部の騰落レシオ(25日間)の推移を比較したものです。この期間の日経平均は2万2,000円台でもみ合いが続き、株価に方向感が出ていなかった一方で、騰落レシオは150%台から70%へと大きく低下させていきました。つまり、結果的に株価水準は維持されたものの、一部の銘柄に資金が集中していた状況です。

 先週の株式市場は、相場のけん引役だったハイテク・IT関連株がさえない一方で、景気敏感株などへ資金が流れる場面が見られました。騰落レシオもそれにあわせて上昇してきましたが、これから本格化する企業決算をきっかけに銘柄物色に広がりが出てくれば、株式市場の支援材料となります。

 また、(3)については、失業保険の特別支給が7月末で終了する他、企業支援プログラムについても申請期限が8月に迫るなど、現在実施されている米国の経済対策がまもなく区切りを迎えるため、追加の政策が求められています。タイミング的には、そろそろ政策案の内容が明らかになってくると思われます。

 ただし、さえない業績見通しを示す企業が増えたり、経済政策の内容で米与野党の協議が難航してしまえば、悪材料に転じてしまう「諸刃の剣」の顔を持っています。

 その「裏の顔」については(1)についても同様です。最近は抗コロナウイルスのワクチン開発の期待で相場が好感される場面が増えています。先週も製薬大手ファイザーやバイオ医薬ベンチャーのモデルナ社によるワクチン開発が順調との見方が好感されました。

 とはいえ、新型コロナウイルスの状況は世界的な感染者の拡大が続いており、引き続き相場の警戒材料であることに変わりはありません。別の言い方をすれば、ワクチン開発への期待はコロナ不安による株安を抑制する役割を担っている面があるわけです。

 開発スピードの鈍化や、ワクチンの品質や安全性、今後の供給体制などに問題が出てくれば悪材料に転じてしまう可能性があります。

 日本でも感染拡大の兆しが見えつつある中、国内旅行需要を喚起させる、いわゆる「Go To キャンペーン」が実施されようとしています。ただ、直前になって色々と議論を呼び、東京が除外されるなどの内容変更もありましたが、感染者増加への懸念は根強く残っています。

 もちろん、「Withコロナ」による経済再開の動きは重要ですし、経済再開による一定の感染者数の増加も想定内です。ただし、どこまでの増加なら許容できる医療体制なのか、再び経済を抑制する措置を採る判断と基準はどこにあるのかなどの根拠や説明、そして国と自治体の連携などの準備ができているのかについては、東京の感染者増に対しての責任を国と東京都で押し付け合っている状況においては微妙と言わざるを得ません。

 日経平均は直近で2万3,000円台の回復もありそうですが、さらなる上昇基調へとつながるのかどうかは連休後のコロナ情勢にも左右されるため、その見極めはもうしばらく先になりそうです。

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