最も高くなるのは日本円とみている

「マーク・ファーバー博士の月刊マーケットレポート」の7月号『FRBは“覚醒”していくのか?』が面白い。

 ファーバーは、「私は現在の財政・金融政策によって、経済がつかの間の急回復後に、その最大の可能性を大幅に下回る状況にさせられてしまうと確信している。シュンペーターは政府から十分な支援を得てしまえば資本主義は停滞すると信じていた。したがって、米国企業の収益は循環的な絶頂に達しており、完全に回復するには数年かかる公算が極めて大きい。」と、大局観を述べている。

FRBの総資産推移

出所:「マーク・ファーバー博士の月刊マーケットレポート」(パンローリング)

 ファーバーは、「投資では時折、ゲームのルールが変わるのだ。例えば、1989年から最近までの日本では紙幣増刷が株式市場にも経済にも役に立たなかった。本音をいうと、私は株式の高値更新を望んでいる。失業率がまだ15%を超え、経済が不調のなかでの株式の高値更新は、FRBにとって面目丸つぶれとなるからだ。」と述べ、FRBと「共依存」の市場を懐疑的にみている。

FRBの紙幣増刷が共依存しているのは、経済ではなく株式市場だった

出所:「マーク・ファーバー博士の月刊マーケットレポート」(パンローリング)

「米ドルがどれだけ安くなるのか、いつ本格的に安くなるのか分からない。だが、米国外投資や貴金属を含めたポートフォリオ配分が適当だろうと考えている。正直なところ、外国為替相場について強い確信を持っているわけではない。とはいえ、2015年以降、米ドル指数は比較的狭い範囲で推移してきた。大きなブレイクアウトの動きがまもなく起こる公算は大きい。最も高くなるのは日本円とみている。」と、ファーバーは円高を見ているようだ。

ドルインデックス先物(週足)

出所:石原順

 JPモルガンから、「ドルは世界の基軸通貨としての地位を失う可能性があると考えている」というレポートが出ていたが、以下はその要約である。

 われわれは、循環的かつ構造的な理由のため、米ドルが世界の基軸通貨としての地位を失う可能性があると考えている。中期的には下落する可能性がある。

 米国の増加し続ける債務(財政と貿易の両方で)を考えると、金を含むより多様な通貨のバスケットに比較して米ドルは価値が損失する可能性がある。まだ米ドルエクスポージャーに偏っている顧客が多いが、この段階ではエクスポージャーはより多様化すべきで、多くの場合、他のG10通貨、アジアの通貨およびゴールドの比率を高める事を推奨する。

出所:(ゼロヘッジ「JPMorgan:We Believe The Dollar Could Lose Its Status As World’s Reserve Currency」(「JPモルガン:ドルは世界の基軸通貨としての地位を失う可能性があると考えている」))

※このあたりの話は、7月18日(土)の「楽天証券サービス開始21周年記念投資セミナー(ネット)」で取り上げる予定です。ぜひ、ご覧ください。