日銀は本当に、年間12兆円ETFを買うか?

 日銀は本当に年間、12兆円も日本株ETFを買うでしょうか? そのためには、月平均1兆円を買わなければなりません。確かに、日経平均が暴落した2020年3・4月は、1兆円を超える買い付けを実施しています。ところが、日経平均が2万円を超えた5月以降は、買い付け額が大きく減少しています。7月は14日までで、2,112億円しか買っていません。月間1兆円にはほど遠い買い付け額です。

 日銀は、買い付けの上限を年12兆円として積極的に買うと言っているだけで、どのように買うかは、開示していません。

 これはあくまでも仮説ですが、日経平均が2万円を大きく超えている時は買い付けを少なくし、日経平均が暴落した時だけ、大量に買い付ける方針に、日銀は転じたかもしれません。なぜならば、今年3月に日経平均が1万6,500円まで下がった時、一時保有ETFに巨額の含み損を抱えたからです。当時、平均買い付けコストが日経平均で1万9,000円台だったからです。

 今、日経平均が急反発したので、保有ETFには再び巨額の含み益があります。それでも、以前のように日経平均がどんどん上がっていても買い続けていると、いずれまた暴落した時にヒヤッとすることを繰り返すかもしれません。そうならないように、日経平均が急落した時だけに、大口買いを出すように、変わったかもしれません。

 ここで、冒頭の質問に戻ります。日銀は本当に年間に上限の12兆円までETFを買うでしょうか? これから、日経平均がもう一度、暴落すれば、上限12兆円まで積極的に買うでしょう。ただし、日経平均が下がらずにじりじり上げ続ければ、日銀の買いは上限には届かず、年間6兆円程度に留まることになると、予想しています。