売買代金ランキング(5銘柄)

1 アンジェス(4563・東証マザーズ)

 新型コロナワクチンへの期待だけで作られた株価でしたが、その期待を熟成するかのように、高値圏での空中戦を続けたアンジェスに驚かされた投資家も多かったのでは? チャートを見ると、ちょっとした大型ディフェンシブ株のような安定感すら漂わせていました。株価が節目を割れてもすぐに戻す…切り返しの強さが信頼感につながったのか、逆張りでエントリーする投資家(個人とアルゴ?)が後を絶たなかった印象です。

 それにしても、コロナ禍で株を始めた個人投資家の増加が影響したのか、「織り込み済み」「出尽くし」なる反応が遅くなっている感じがありますね。5月26日に、ワクチンの治験は7月から始めると伝わりました。すでに知られていることの確認的報道、例えば16日に大阪市の松井市長が「6月30日から治験を始める」としたら買われ、25日にワクチン開発の治験審査委員会からの承認を受けたことをリリースすると、翌26日の年初来高値を更新。ようやく「織り込み済み」「出尽くし」的な動きが起きたのは、治験開始の30日でした。地合いがいいときは“鈍感”であった者勝ちなのでしょうか…。

2 テラ(2191・ジャスダック)

 新型コロナ治療薬の開発期待で急騰してきたバイオ株。開発を始めると表明した時点では時価総額39億円(株価167円)でしたが、9日に付けた年初来高値(2,175円)時点の時価総額509億円。新型コロナ治療薬の開発表明で、あっさりテンバガー…。

 ただ、9日に付けた高値から、わずか5営業日後の15日には株価が半分になる場面も。一部週刊誌による治療薬開発への疑念報道が理由だったようですが、これについては真っ向から否定。その後は、臨床試験を実施しているメキシコより、共同開発者であるセネジェニックス・ジャパン社長が臨床試験の現状や成果を小まめにアップ。メキシコでの薬事申請も近づいているようですが、情報の正確性などについて、正直わかりません。

3 PSS(7707・東証マザーズ)

 OEM供給する全自動PCR検査システムがフランスの医療現場で採用され、各方面から日本国内でも使うべきとの声が挙がっていますよね。12日に、自社開発の新型コロナ向けPCR検査機器の臨床検体を用いた評価で、「陽性一致率100%、陰性一致率100%」という良好な結果が得られたと開示。翌15日に、上場来高値を3,150円まで切り上げました。

 ただ、23日には一時ストップ安まで売り込まれる場面も。塩野義製薬が、専用機器の必要なし、30分程度で判定できる検査法を開発すると発表。日本もPCR検査を増やすべきとの総意から始まった大相場でしたが、検査に関する大手参入、競合激化に株価は敏感なようです。

4 メルカリ(4385・東証マザーズ)

 コロナ禍による外出自粛がポジティブ、マザーズの地合い好調も時価総額トップ銘柄の同社には当然ポジティブで、引き続き堅調な値動きに。上値追いの支援材料としては、外資系証券の目標株価引き上げも複数ありました。3日に、モルガン・スタンレーMUFG証券が投資判断を「Overweight」、目標株価を3,000円から3,600円へ引き上げ。また、月末30日にはJPモルガン証券が目標株価を2,300円から3,400円へ大幅に引き上げています。

 両社とも、これまで苦戦していた米国事業のポテンシャルに注目しているもよう。米国事業が、巣篭もり需要によって、競合をしのぐ勢いで成長する可能性があるようです。投資家がこれまで弱気材料にしてきたのは米国事業ですので、ここが変貌を遂げているのなら株価の上昇ポテンシャルもまだ残っていそうですが…。

5 AIinside(4488・東証マザーズ)

 コロナ禍で登場した新テーマ“DX(デジタルトランスフォーメーション)”。新型コロナで生活スタイルが変化したことで、あらゆる環境でデジタル化が加速し始めましたよね。この社会変革を推進する企業をDX関連株と称し、テレワーク関連株やオンライン教育関連株などのグロース株が人気化しました。

 その一角として、ひときわ人気化したのが同社株。AIが書類の文字をテキストデータ化する文字読み取りサービスを展開しています。株価が超値がさ株となったことで、株式分割期待も含まれていそう。また、7月に新規設定されるDX関連株の投信で、説明資料に組入れ候補として記載されていたことも先回り買い要因に。