今週の予想

先週末のNYダウは本格調整入り。日経平均も連動か

 国内の新型コロナウイルス感染者数が増加傾向にあり、今週の日経平均株価はいったん調整に入る可能性が高いといえます。

 テキサス州、フロリダ州など新型コロナの感染者数が過去最高を更新する州がいくつか出てきたことで、先週の米株は下落しましたが、それに比べて日本の感染者数は東京を除くと安定していることで、先週の日経平均株価はしっかりした動きとなりました。ただ、しっかりした動きといっても上値を抜けていく動きではありません。

 先週末に現れたNYダウ平均株価の下げの型をチャートで見ると、二つ連続の売り転換と、2020年3月23日の安値1万8,213ドルからの上昇トレンドを切っており(※(今週の指標)NYダウ平均株価を参照)、本格調整入りの形に。6月16日の戻り高値2万6,611ドルを突破できない限り調整が続く可能性が高いとみています。今のところトランプ米大統領は経済優先の政策をとっています。しかし、全米に再び感染が拡大するようなら、経済優先気運が後退、景気の早期回復期待が懸念され、株価の調整が続くことになります。

 一方、先週の日経平均は米株式に比べて底堅いように見えても、コロナ感染第2波への懸念と経済活動再開による景気回復への期待が交錯し、方向感のない値動きでした。景気回復期待も売買代金や出来高が伴っておらず、下値では日銀のETF(上場投資信託)買いや金融緩和、財政政策が下支えしているため、底堅いように見えているだけかもしれません。

 方向感のない値動きの外部要因はもう一つ、米中対立の懸念があります。トランプ米政権はファーウェイなど複数の中国企業を中国軍の支援企業だと名指し、米中貿易の停滞要因が出始めています。さらに、トランプ大統領は再選が厳しいという見方も出ており、支持率回復のため、今後何をするか分からず、注意が必要です。

今後の投資姿勢は?

 NYダウのチャートには久しぶりに二つの連続した売り法則が出現。さらに直近の安値からの上昇トレンドを切って本格的な売り転換の型になりました。しかし、ドンドン下げるならここから売りでもいいのではないかと、勝手に予想するのはリスクがあります。チャートの型は、現時点での需給関係(売りと買い)の結果で、このまま新型コロナウイルス感染が拡大していけば下落は続くでしょうが、それに賭(か)けてカラ売りするのは単なるバクチ。株価の下落を見て、政府がコロナ対策を打てば反発することになるからです。それがどのようになるのか誰にも分かりません。言えることはドンドン下がり続けて、もう誰もが怖くて買えなくなったとしたら、そこが最高の買い場になるということです。