NYダウは下方向の意識強まる、NASDAQは上昇基調をキープ

 続いて、米国株市場です。

■(図3)NYダウ(日足)とMACDの動き(2020年6月26日取引終了時点)

出所:MARKETSPEEDⅡを元に筆者作成

 NYダウ平均株価は、6月5~10日にかけて、200日移動平均線をまたいだ格好で「アイランド・リバーサル」が形成され、以降も200日移動平均線を上抜けできない状況が続く一方で、25日移動平均線がサポートになっていましたが、先週、この25日移動平均線を下抜けてしまいました。

 ただ、チャートを少し過去にさかのぼると、5月中旬も株価が25日移動平均線を下抜けた場面があったのですが、この時は早い段階で回復できたこともあり、このまま相場が崩れるとは言えない面があります。とはいえ、下段のMACDの下降が継続しているため、やはり下方向への意識の方に傾きつつある点に留意する必要があります。

 米国の経済指標については、改善もしくは予想ほど悪くない結果が増えていることが直近の相場を支えてきた面がありましたが、先週末26日(金)の取引では、この日に発表された5月の個人消費が過去最大の上げ幅(8.2%増)だったにもかかわらず、NYダウの下げ幅は700ドルを超えています。

 今週の米国も、4月のS&P/ケース・シラー米住宅価格指数をはじめ、6月CB消費者信頼感指数や6月ISM製造業景況指数、そして6月雇用統計と数多くの経済指標の発表が予定されていますが、最近になって、米国の1日あたりのコロナ新規感染者数が連日で過去最高を更新していることを背景に、経済活動とコロナ感染拡大が裏表の関係にあることがあらためて意識されています。経済回復のスピード鈍化や長期化が警戒されはじめたとすれば、下げ幅が大きくなってしまう可能性があります。ちなみに、IMF(国際通貨基金)が先週発表した世界経済の見通しも下方修正されています。

 一応、米株市場をけん引してきたGAFA(グーグル、アマゾン、フェイスブック、アップル)が所属するNASDAQは、まだ25日移動平均線がサポートとして機能しています。

■(図4)米NASDAQ(日足)の動き(2020年6月26日取引終了時点)

出所:MARKETSPEEDⅡを元に筆者作成

 6月のNASDAQは1万pに乗せる場面があるなど、史上最高値を更新しました。また、先週は75日と200日移動平均線のゴールデン・クロスも出現しており、こちらはまだ上昇基調を保っていますが、NYダウと同様に耐えきれなかった場合には警戒感が高まりそうです。