臨床試験のタイミングと方法について

 これらの企業の中で最も臨床試験がはかどっているのは、モデルナ(MRNA)/ロンザと、ファイザー(PFE)/バイオンテック(BNTX)のグループです。双方とも最終的に薬効を確認する目的で行われる第3相臨床試験を7月に繰り上げています。これはこれまでの試験で安全性に問題がなかったことを示唆しています。

 次に、モデルナ/ロンザ、アストラゼネカ(AZN)/オックスフォード大学、ジョンソン&ジョンソン(JNJ)/エマージェント(EBS)が開発する3つのワクチン候補ですが、NIH(米国立衛生研究所)がじきじきに第3相臨床試験を監督すると発表しています。

 これに対してファイザー/バイオンテックの第3相臨床試験は、自社で行います。この理由は、ファイザーは自社で臨床試験を仕切る実力があり、NIHの手を借りるまでもないと判断されたためだと思います。

 NIHが監督する3つの臨床試験は全米50カ所のテストサイトで実施され、それぞれに3万人、合計15万人の被験者を募ります。これはとても大きな臨床試験になります。

 ワクチンの投与を受けた被験者が、その後、新型コロナウイルスにかかるかどうかを実際に観察するのです。そのため、テスト地選定には、いま新型コロナ禍が荒れ狂っている地域が選ばれると思います。