6月に注目したい新興株の動き
歴代最強クラスの優良地合いが2カ月続きましたが…これ、まだ続くのでしょうか? 続いて欲しいものですが、こればかりは誰にも予見できない話。ただ、前月も注目したい点を「流動性だけ」としましたが、そこは今月も変わりません。流動性とは何を見れば良いかというと、マザーズ市場全体の1日当たりの売買代金です。
では、その目安は? となりますが、1日当たりのマザーズ市場の売買代金平均は、4月が1,272億円でした。1,000億円超でも高水準なのですが、それを維持するどころか、5月は2,138億円に急拡大。高い株価で買った投資家の反対売買の売りも、十分な流動性で吸収することが出来たわけです。それだけに、6月は5月の1日平均2,138億円を上回る流動性が無いと、信用で買った短期勢の売りをさばけません。最低でも1日2,000億円以上、これを維持できているかどうか、を判断基準にしてください。
今のマザーズ市場は、前例が少ないほど過熱しています。5月のマザーズ指数の25日移動平均乖離率は10.4~20.0%。1カ月間ぶっ通しで25日移動平均乖離率が10%を超えているわけですが、この状態は4月14日から継続中ですので、実に「1カ月半」も続いています。こんなことあったかな? と遡りましたが、2013年1月10日~2月4日、4月17日~5月21日、そして2014年5月30日~6月24日の三度だけ。アベノミクス相場初期ですが、さすがの当時でも1カ月程度の持続期間でした。アベノミクス相場以降で、今が過熱度ナンバーワン(!?)。過熱感でいえば騰落レシオも有名ですが、5月の騰落レシオ(25日)は122~147%で推移。騰落レシオ147%は、遡って調べられた2007年以降では最高値です。やはり、過熱度は過去最高クラス(!?)
では、過熱し過ぎているから危険なのか? 逃げたほうがいいのか? といえば、そうとも言えないのがマザーズ市場。過熱感だけでいえば、1カ月前から存分に漂っていましたから。それでも上げ続けたのは、過熱感を維持できたから。買われ過ぎ方向に異常値レベルのシグナルが出ているほうが、今のマザーズ好地合いは維持されます。なぜなら、過熱している場所に人が集まるから…。そもそも、割高株だらけで、事業規模からみても、表現しようが無いような時価総額になっている銘柄がゴロゴロ存在。それでも、その上値を買う投資家がいるのが今で、「まだ上がりそう」「お金がここに集まっていそう」と感じる投資家が多いわけです。
マザーズ指数が上がることが危険なわけではなく、「マザーズ指数が上がらなくなる」ことこそ危険。上がらなくなると個人投資家の短期資金が霧散し、流動性が急低下すると、マザーズ市場はすさまじいスピードで崩壊します(上がるときより下がるほうがスピードは速い)。そのときに、真っ先に売られるのは、信用買いで買われた短期の個人投資家の買いに偏った銘柄。4~5月にかけて、信用買い残を急増させながら株価が急騰した銘柄ほどリスクが大きくなります。自身の触っているマザーズ銘柄の信用買い残はチェックし、買い残が膨らんだタイミングの価格帯なども確認するようにしてください。
最後に…もうはまだなり、まだはもうなり。