値上がり率ランキング(5銘柄)

1 テラ(2191・ジャスダック)

 4月27日に、新型コロナウイルス感染症に有効な新薬の開発に係る事業を新たに開始すると発表。先にワクチン開発を表明していたアンジェスが急騰していたこともあり、“第2のアンジェス”的な期待を込めた個人投資家が多かったのだと思います。多かった一方で、その対象のテラが小型株過ぎた…これで生まれた需給ギャップが株価急騰の背景です。

 5月の月内では、14日に新型コロナウイルス感染症に対する幹細胞治療の臨床試験を開始したと発表。主要なデータの収集が完了するのは7月、臨床研究の終了で9月を予定しているそうです。ここもアンジェスと同様、まだ時間がかかるため、目先的には悪いニュースが出にくいと踏んで買い向かっている短期勢が多そうです。

2 ips(4390・東証マザーズ)

 好決算で急騰した銘柄です。惚れ惚れするような今期ガイダンスで、上場来高値の更新に成功しました。同社は、フィリピンで国際データ通信回線を提供するほか、医療美容事業も展開しています(かなりレアな業態)。前2020年3月期が二ケタ増収増益で着地したうえ、今2021年3月期予想は売上高が前期比37%増の89億円、営業利益が同58%増の17億円と開示しました。

 コロナ禍でこの伸び率を示したのは驚異ですが、フィリピンでも外出制限など規制があるなか、それを考慮してこの数字というのが凄い! 海底ケーブルを使ったサービスの開通で、海外通信事業の増収が見込めることが背景とのことです。株価は大幅に上昇しましたが、予想PER(株価収益率)は未だ30倍台未満。これもレアですね、今のマザーズ市場では。

3 FRONTEO(2158・東証マザーズ)

 月初の1日に、自社のAIシステム「Cacade Eye」を利用し、新型コロナウイルス感染症の研究で、約450種の候補化合物をリストアップしたことを発表。5月に入ってすぐ、新型コロナに関連するAI関連的な位置付けになり、瞬く間に人気銘柄へ。同社のAIを使えば、候補薬探索が大幅な効率化をもたらすことが示唆されたそうです。

 また、20日に開示した今2021年3月期見通しでは、営業利益予想が2億円の黒字に転換。こちらの理由は上述のコロナ関連ではなく、主力のリーガルテックAI事業で、米国でAIによるレビューツールの引き合いが増えていることなどを挙げていました。

4 BASE(4477・東証マザーズ)

 2019年10月のIPO以降さえなかった銘柄ですが、今回のコロナ禍で一躍人気銘柄に。15日に発表した1-3月期の連結売上高は、前年同期比47%増と強烈な伸びを示しました。これは、新型コロナの感染拡大で新規ショップ開設数が急増したことが背景だったようです。さらに驚くのが、4月の月間総売上金額が3月比で104%増、前年同月比では190%増だった点。これが続くなら、通期予想の大幅上振れは確実ですが、どうでしょう…。

 香取慎吾さんを起用したCMも始まり、知名度向上を狙うタイミングで小規模な小売業のオンライン化加速というビッグウェーブも重なっています。足元では、米系大手運用会社が大量保有を報告。中小型ファンドの買いも巻き込んでいるようです。

5 PSS(7707・東証マザーズ)

 理化学機器の製造販売を手掛ける千葉県松戸のベンチャー企業。メディアでも多く紹介されていましたが、同社がOEM供給する全自動PCR検査システムはフランスの医療現場で採用されています。その貢献から、駐日フランス大使から礼状まで受け取りました。

 日本でも、PCR検査の増加を、第2波に備えた国策として掲げています。同社はPCR装置と一体化したPCR試薬の保険適用を厚労省に申請。同社の検査システムが日本国内でも利用できるのではないか? そうした期待が株価に込められ、20日から信用規制がかかりながらも上値を取り続けました。なお、知名度は高まりましたが、実はかなり以前から上場している老舗企業。上場したのは2001年で、最初はジャスダック(当時のナスダックジャパン)上場銘柄でした。