2万3,000円超えあたりから上値が重たくなる

■(図2)日経平均(日足)の動き(2020年6月5日取引終了時点)

出所:MARKETSPEEDⅡを元に筆者作成

 上の図2は期間が長めの日経平均日足チャートです。チャートを過去にさかのぼると、日経平均は昨年11月から今年の2月中旬までのあいだ、3カ月以上にわたって大体2万3,000~2万4,000円の範囲でもみあいつつ、天井圏を形成していたことが分かります。

 ここから先は戻り待ち売りや利益確定売りが出やすい価格帯に足を踏み入れることになるため、先ほどの3日(水)と4日(木)のローソク足は2万3,000円のカベに対する意識の表れと見ることができます。

 また、先週末の先物取引市場で2万3,000円台を超えたのは、5日(金)に発表された米5月雇用統計の数値が予想していたよりも良好で、早期の経済回復期待が高まったことがきっかけです。米国の主要3指数(NYダウ平均株価、S&P500、NASDAQ)がそろって大きく上昇し、とりわけ、NASDAQは今年2月につけた史上最高値を取引時間中に更新しています(下の図3)。

■(図3)米NASDAQ(日足)の動き(2020年6月5日取引終了時点)

出所:MARKETSPEEDⅡを元に筆者作成

 今回の米雇用統計についてもう少し詳しく見ていくと、失業率が13%台でした。確かに予想の20%前後と比べるとかなり良い結果と言えますが、前回の史上最高値をつけていた2月時点の失業率が3%台だったことを踏まえると、株価水準は同じ高値圏ではあるものの、経済指標は大きくズレており、これまでのレポートでも触れてきた通り、市場の期待と実体経済の現実との間のギャップは着実に拡大しています。

 このように、株価水準の視点では、2万3,000円超えあたりから上値が重たくなると考えるのが自然です。そのため、ここからさらに上値を追うには、この勢いを維持して強引に押し通すか、さらなる買い材料、そしてスピード調整などが必要となります。